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綜説
各種麻酔による肝流血量の変動について
著者: 森田建1 富永幹洋1 鈴木良人1 大内十悟1
所属機関: 1日本大学医学部第一外科教室
ページ範囲:P.773 - P.781
文献購入ページに移動従来,麻酔の肝臓にあたえる影響に関しては,主として実験的には組織学的研究により,臨床的には種々の肝機能検査法によつて検討されてきた.しかしこれらの方法による成績は,いずれも麻酔によつて肝臓にもたらされた結果の一面を示すにすぎず,ことに臨床的な報告では,麻酔の影響と手術の影響とを区別できないものも少なくない.肝機能に及ぼす麻酔の影響については,相当に肝機能を減退させるという説8)10)と,あまり影響を及ぼさないという説38)とがある.しかしクロロホルムのごとき明らかに肝臓毒とみられる薬剤を別とすれば,麻酔中に肝臓の低酸素状態を起こすことが,肝機能に及ぼす麻酔の影響の大きな原因となつていると考えられている6).肝臓の低酸素状態の有無あるいはその程度は,組織学的研究や肝機能検査などの方法で直接知ることは困難である.生体内臓器組織の酸素供給状態は,血液循環動態,特に臓器血流動態を求めて大体を推定することができる.かかる立場より,各臓器,特に心臓,脳,肺,腎臓などの麻酔中の血液循環動態は,従来より種々検討されてきている.しかし肝循環に関しては,従来応用されてきたBSP法が複雑であつたためか,報告の数も少なく内容も断片的なものが散見されるにすぎない.
われわれの教室では,現在までに行なつてきた外科領域における肝循環の研究の一環として,各種の麻酔法による肝流血量の変動を検討したのでここに報告する.
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