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文献詳細

雑誌文献

臨床外科16巻9号

1961年09月発行

外国文献

起立に対する反応,他

ページ範囲:P.825 - P.834

文献概要

 静臥位から直立すると両脚だけで500 ccの血液が前より増加する.直立30分で,おそらく血液量の15%が循環から外れる.心送血量は30%ちかく低くなる.これらに対し,正常ではbaroreceptor reflexがおこつて血管収縮し,血圧を維持することはいうまでもない.著者らは200例に起立試験を行つた.正常の若人なら収縮期血圧は一時高くなつて,それからゆるく少し低下するが20mmHg以上は変らない.拡張期血圧はやや高まる.そのころ血漿ノルアドレナリン濃度も高くなる.収縮期血圧がつよく低下し,脈搏増加し,脈圧減少,拡張期血圧正常増加はorthostatic arterial anemiaといわれ,アステニックの人に多く,血圧低下性の失神を招く.その血漿ノルアド増加は正常で,おそらくvenomotor toneの消失によるのであろう.静脈瘤,高度貧血の人にも同様の反応をみる.鬱血性心不全では起立すると拡張期血圧低下し,脈圧が上昇し,収縮期血圧には著変がない.これは心送血量増加によるのであろう.血漿ノルアドは正常人のようにふえる.vagovagalないしvasodepressor syncopeというのはふつうに見る失神で,恐怖・不安・過呼吸・出血などが増強因子である.健康に見える成人の20%はこの種の起立失神を来す.老人には少い.始め数分は血圧維持され,ついで突然不可測となる.脈圧は消失に近い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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