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文献詳細

雑誌文献

臨床外科17巻1号

1962年01月発行

文献概要

展望

胸腺腫の特殊性

著者: 渋沢喜守雄1

所属機関: 1前:群大

ページ範囲:P.47 - P.61

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はしがき
 胸腺腫瘍が縦隔腫瘍のうちで特に注目されるのは,その解剖学的な位置関係と,そのおよそ20%におよぶ重症筋無力症発呈とによるのであろう.胸腺腫を伴つた成人男子の筋無力症の手術成績は,Mount Sinai Hosp.の成績でも,Johns Hopkins Hosp.の成績でも,Mayo Clinicの成績でも,Massachusetts General Hosp.の成績でもまた英国のKeynes一派の成績でも甚だしく不良である.筋無力症の外科はわずかに若い婦人の胸腺過成形においてのみ,保存療法に有意にまさる良成績を収めうるにすぎない.してみれば,胸腺腫が胸部外科で特別の関心をひくのは当然の当然であるであろう.
 しかし,ここでは筋無力症を発呈した胸腺腫に注意を向けようというのではない.筋無力症という大問題を別にしても,胸腺腫は外科臨床において不可解なるいくつかの難問題を提供しているのである.内分泌学においてそうであるように,外科領域においても,胸腺腫は甚だしい謎である.ここではそうした点のみを取上げて,胸腺腫の特殊性を強調したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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