icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科17巻10号

1962年10月発行

特集 麻酔

外来手術の麻酔

著者: 綿貫喆1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学

ページ範囲:P.1047 - P.1053

文献概要

いとぐち
 外来手術は小手術であるからその麻酔は簡単であるという考えは全くあやまりである.小手術といえども完全無痛であることは絶対に必要である.しかも外来手術には入院手術とはことなつたいくつかの特色がある.その第1は,手術が終わつたら外来患者は帰宅しなければならないことである.近頃の交通状態では混んだ電車やバスでもまれながら帰らなければならない患者もある.したがつて患者の全身状態に大きな影響を及ぼす麻酔法,合併症や危険の多い方法はさけなければならないし歩いて帰れなくなるような方法でも困ることになる.すなわち麻酔自身の作用ができるだけ早くなくなり,麻酔がさめた後も患者に影響がのこらないしかも簡単な麻酔法がよいことになり,このような点を考え合わせると局所麻酔が一番適していることになる.しかし特殊な場合には全身麻酔が必要になることもあるがこれについては後に述べる.
 次に外来患者は入院患者とことなり術前の十分な検査が行われていないことである.患者は主訴の疾患についてのみ述べ医者の方もそのことのみを問診して患者の既往歴については触れない場合が大部分である.患者は一見健康そうにみえるが呼吸系,循環系あるいは内分泌系の疾患を有している場合がある.このような患者にたいしても精密検査は行われずに直ちに手術を行うことになつてしまう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら