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熱傷研究のメッカ
著者: 藤田五郎1
所属機関: 1自衛隊中央病院
ページ範囲:P.1259 - P.1261
文献購入ページに移動 熱傷は病理学的にも極めて特殊な創傷の一つであり,救急処置の段階から機能回復までは一貫した治療が必要である.米国では,第2次大戦や朝鮮戦争における数多くの経験のほか,社会生活が高度化するに伴つて加速度的に増加する熱傷患者の実情にもとづいて,劃期的な努力を傾注して熱傷研究ととり組んでいる.米本国では,1954年の1年間に6,800人の熱傷患者が死亡しているとも云われ,わが国でも昭和35年の1年間には,約7万人の人々が熱傷患者として医療を受けていることになつている.経済的,肉体的に,はたまた精神的に苦痛の大きい熱傷の治療について真けんに考えるべき時機がきているのではあるまいか.今後は,各種工業の飛躍的発達や自然災害増加の現況にかんがみて必然的におこりうる集団熱傷患者の発生に対する対策も考えておく必要があるのではあるまいか.熱傷にかぎらず,集団災害外傷患者対策は医療を担当するものに課せられた使命であるとおもう.その際,医療活動に従事するものの能力と,"一時に降つて湧いたようなmass casualties"との間に生ずる質的,量的の大きなギャップを如何にして埋めるかがこの難問を解決する鍵ではあるまいか.
かのアラモのとりでの所在地として有名なテキサス州サンアントニオの町に,勇将の名をとつてフォートサムヒューストンと呼ばれている広大な軍施設がある.
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