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文献詳細

雑誌文献

臨床外科17巻2号

1962年02月発行

文献概要

展望

小腸憩室症とMalabsorption Syndrome

著者: 渋沢喜守雄1

所属機関: 1前:群大

ページ範囲:P.117 - P.128

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はしがき
 糞便に多量の脂肪を排出する腸管機能障害は,ふつうCross(1953)以来,malabsorption syn-dromeとよばれる.いうまでもなくsprue,spruesyndrome,steatorrhoea syndromeなどという呼び方の方が,わが国ではもつと親しみぶかかつたかとおもわれる.これらは,あたかも臨床的な完全な診断であるかのごとき感を与えるが,実は,それは既知・未知の原因による諸状態群であろう.したがつて,いくつかの"疾患"にわけて考えなくてはなるまい.たとえば,熱帯スプルーは,たとえ非熱帯スプルーと截然とは区別しえない近似性があつても,熱帯・亜帯熱に発生するmalab-sorption syndromeに限つているがごときである.非熱帯スプルーは,米国の文献ではnontropicalsprue,英国の文献ではidiopathic steatorrhoeaという呼び方が多いようである.Anderson(1952)が小児のいわゆるcoeliac diseaseに無グルテン食(gluten-free diet)の効果を確かめてから,成人の非熱帯スプルーにおいても,無グルテン食の効果が確認され(French 1957),本症の惹起物質はグルテン中のgliadin分屑(ポリペプタイド)であろうと見られるようになつた(Frazer 1956).つまり,gliadin代謝の酵素系に欠陥があると見るべきである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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