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文献詳細

雑誌文献

臨床外科17巻3号

1962年03月発行

外国文献 外科総論,脳外科,心臓外科,脳神経外科

N-Mustardと自家骨髄注射,他

ページ範囲:P.228 - P.234

文献概要

 南阿では副鼻腔・後鼻腔の悪性腫瘍頻度が高いということで,Nairobi地区では頭頸部悪性腫瘍が全癌の32%,副鼻腔12%,後鼻腔9%を占めるという.これは西欧諸国の20倍ほどになるらしい.そこでその治療に苦労が必要となるが,著者は手術不能の高度進展の副鼻腔・後鼻腔の癌33例に,nitrogen mustard大量(2mg/kg)療法をこころみ,その3例にはN-mustard大量と共に自家骨髄の静注を行つた.まずN-mustard注射前に(30分ぐらい)クロルプロマジン20〜25mg筋注.食塩水点摘開姶.そこでN-mustard液を点滴に加える.N.mはまず0.2mg/kg,5日間(計1mg/kg).これは15例あるが,神経圧迫症状等は改善した.白血球減少はあるが中毒死はない.軽快は2〜3カ月つづいた.再増悪すればまた同じN.m点滴を行い,総計2mg/kgに達する.2mg/kgに達すると網内系の永久破壊がおこり大部分は死亡するので,骨髄移植が必要になる、シリコン加工シリンジで胸骨を数回穿刺,グリセリンを加え凍結封入、必要に応じSolvister法で加工し急速に静注.N.mはどうしても1.5mg/kg以上が必要なので,1.5〜2.0mg/kgに達した3例にこの骨髄静注を行い,3例とも顆粒細胞減少・感染死を免がれ,また癌治療効果をあげえた.骨髄静注を行わなかつた2.0mg/kg 3例は皆死亡した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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