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文献詳細

雑誌文献

臨床外科17巻5号

1962年05月発行

外国文献

自家免疫病,他

ページ範囲:P.383 - P.389

文献概要

 自家免疫として知られているものに,まず最初の後天的溶血性貧血,sedormidその他薬物紫斑病,EL,Has-himoto病,甲状腺疾患,リウマチ,Sjögren病などで自家抗体が知られてきた.進行性肝疾患にも自家抗体が見出された.その他・慢性膵炎・悪性貧血・Addison病・男子不妊・潰瘍性結腸炎も自家免疫に関係があるといわれている.しかし,この反応がどうして疾患を惹起するかその機序は明かでない.甲状腺や脳では自家または同種組織で実験的に自家抗体を容易につくりうる.抗体が出現してから甲状腺なり脳に変化がおこる.しかし抗体を証明しえないで,相当する疾患が発生することがあり,他面,高単位抗体を正常動物に注射しても相当疾患が発生しなかつたりする.それで循環抗体というよりも,リンパ球を介するdelayed typeのhypersensitivityにむすびついて,組織損傷がおこるのではないかと思われる.人体でも疾患を直ちに循環抗体にむすびつけるには躊躇する.心筋梗塞では特異抗体が血清にでるが,それは梗塞の結果であり,原因ではない.自家免疫甲状腺炎の患者血清は甲状腺組織培養に対し細胞毒である.しかし自家抗体は抗原含有組織に有害とは定まつていない.自家免疫病ではdelayed type hypersensitivityに見るような,組織学的にcompetent cellを証明しえない.自家免疫病では,細胞学的な基礎が欠けている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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