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文献詳細

雑誌文献

臨床外科17巻6号

1962年06月発行

特集 手こずつた症例―私の経験した診断治療上の困難症(Ⅰ)

診断と治療の困難ということ

著者: 中田瑞穂1

所属機関: 1新潟大学

ページ範囲:P.395 - P.400

文献概要

 野球でいえば,カーヴをうまくひつかけて,ヒットなり,時にはホームランをかつ飛ばすということは,外科でいえばうまく難症を診断し,手術に成功したということである.
 しかし,直球のストライクに空振りということもある.ファウルを捕られアウトということもある.無暗にボールに手を出すということもある.打撃率が3割といえば立派な打者であり,年間を通じて3割以上となればリーデングヒッタとなれる.1割以下しか打てないというのは職業人には少いが,4割以上長期コンスタントに打てるためしも殆どない.短期のゲームでは5割〜10割のヒットということも絶無ではないが,長期5割ということは野球では先ずむずかしい.それというのも相手が常に変り,球質もさまざまであり,グラウンドも同一ではない上に打者としても,そのコンデションは毎日同じということはない.体調の悪い日もあり,精神的に崩れる日もあろう.スランプとなれば全くあの人がと思われる位に不成績になるためしは珍しくない.すなわちいくら経験をつみ,練習をくりかえし,体調をととのえても,6割の打者とか,5割の打者というものは殆んどなく,大体4割近くが最高であつて,そこに抜き難い壁が厳然とあるということがわかる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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