icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科17巻6号

1962年06月発行

特集 手こずつた症例―私の経験した診断治療上の困難症(Ⅰ)

急性膵炎

著者: 津田誠次1

所属機関: 1岡山大学

ページ範囲:P.523 - P.528

文献概要

 急性膵炎には軽症と,重症と,超重症の3型があり,軽症は内科医がよく注意して観察すれば相当多いもののようである.しかしその診断は上腹部の疼痛,圧痛(特に左上腹部痛)等があつて,しかも胃や胆道疾患が否定され,その上尿のジアスターゼの増量が証明されれば確かであるが,尿ジアスターゼの増量が正常以上にない場合も比較的多いので,軽症型急性膵炎の診断は少なからず漠然としているようである.超重症型はまたたく間にショックに陥り,半日〜1日ですでに死の転帰をとるものもありその診断は極めてむずかしい.その中間に位する重症型は最も病症の明らかなもので,その外科的処置に対しては賛否なお相半ばするが,診断を確め,疼痛を急速に和らげ,諸種臓器なかんずく腸管,肝,腎等を膵酵素の影響から庇護するには,手術的療法もまた捨て難いものがある.最近独逸BayerからTrasylol1)(Trypsin—Kallikrein-Inaktivator)が発売せられるに当り,手術成績も向上するのではないだろうか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら