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外科の焦点
冠不全の外科の新しい問題点
著者: 麻田栄1 武内敦郎1
所属機関: 1大阪医科大学麻田外科教室
ページ範囲:P.941 - P.946
文献購入ページに移動 ここで筆者等がいう「冠不全」とは,冠動脈の狭窄ないし閉塞によつて,その配下心筋が乏血ないし虚血に陥つている状態を指すものとする.このような状態は臨床的には,1)いわゆる狭心症の発作,2)狭心症発作はないが,心電図の異常とくに労作時に著明なST・Tの変化,3)定型的な心筋梗塞症状等の形で現われることは周知の通である.
このような患者の心臓を病理学的に調べてみると,冠動脈枝相互の間の副血行路──いわゆる冠内性副血行路Intercoronary Collateralsが発達し,閉塞配下の心筋が周囲の冠動脈枝から血液の補給をうけていたことが考えられ,一方また,心筋の乏血部に外部から心膜が癒着して,その癒着部に血管吻合がみられ,これが冠外性副血行路Extra-coronary Collateralsとして心筋の乏血を多少とも和らげていたと考えられる症例がある.かかる事実に立脚して,冠不全に対する外科的療法としては,いわゆるMyocardial Revascularizationなる一連の手術が1940年頃から行われて来た.
このような患者の心臓を病理学的に調べてみると,冠動脈枝相互の間の副血行路──いわゆる冠内性副血行路Intercoronary Collateralsが発達し,閉塞配下の心筋が周囲の冠動脈枝から血液の補給をうけていたことが考えられ,一方また,心筋の乏血部に外部から心膜が癒着して,その癒着部に血管吻合がみられ,これが冠外性副血行路Extra-coronary Collateralsとして心筋の乏血を多少とも和らげていたと考えられる症例がある.かかる事実に立脚して,冠不全に対する外科的療法としては,いわゆるMyocardial Revascularizationなる一連の手術が1940年頃から行われて来た.
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