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文献詳細

雑誌文献

臨床外科17巻9号

1962年09月発行

文献概要

綜説

所謂早期胃癌の組織形態

著者: 卜部美代志1 水上哲次1 山本恵一1 高野利一郎1

所属機関: 1金沢大学医学部第一外科教室

ページ範囲:P.947 - P.963

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緒言
 胃癌の組織発生については古くから多数の研究報告があり,その発生母地としてpolyp,慢性胃炎,潰瘍があげられている.polypからの胃癌発生についてすでにVerse(1909)27,28)がpolyp腺腔がその揚で(an Ort und Stelle)癌化して腺癌を発生することを述べている.胃潰瘍からの発癌についてはHauser(1883)5)が有名な病理組織学的証明を確立して以来,Duplant Fuetterer,Wilson & Mc Carty,Payr21)等のこの問題についての報告がある.胃炎癌の発生についてはKonjetzny(1913)8-10)の研究がまた有名である.彼の説によれば,polyp,潰瘍,萎縮性胃炎等の状態はすべて慢性胃炎の結果生じ,結局胃癌もまた胃炎を基盤として発生することになる.次いでMoskowicz(1924)の研究は胃癌発生における多中心性発生を論ずる端緒を開き,さらにKonjetznyの胃炎説に批判を加えている.すなわち胃癌の母地となる萎縮性胃炎において,上皮細胞の再生過程の変異を問題とすべきであるとしているのである.
 一方米国方面においてBroders1)等によつて異所性を示さない異型性のみを示す癌の存在が提唱され,Mallory12),Swilling(1935,1936)等によつて粘膜のみに限局する胃癌においてBrodersのcarcinoma in situが承認された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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