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文献詳細

雑誌文献

臨床外科18巻1号

1963年01月発行

文献概要

論説

血中癌細胞遊出と癌細胞間の結合力におよぼすナイトロミンの影響について—術前使用の意義の検討

著者: 佐藤博1 徳岡淳一1 溝田成1 常松匠1 徳山英太郎1

所属機関: 1佐々木研究所附属杏雲堂病院外科

ページ範囲:P.30 - P.38

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I.はじめに
 癌治療成績向上のため,近年多くの手術法,診断法の改善が行なわれて来たが,その結果は余り効果を上げ得なかつたといつても過言ではないであろう.特に胃癌については1946〜1955の間に胃切除後5年生存率にさしたる向上なく1),また1930〜1950の間に胃癌患者の胃切除率は増加して来たが,さらに困つたことには,胃切除後の再発率もまた増加しているように思われる.(Jeme-rin2):切除率42%,再発率51%→切除率52%,再発率60%,Shahon3):切除率22%,再発率41%→切除率43%,再発率75%,Welch4):切除率25%,再発率52%→切除率50%,再発率72%)すなわち,胃切除率は,20〜40%のものが50%程度にまで向上したのであるが,再発率もまた40〜50%程のものが60〜80%位に上昇して居る.
 手術と制癌剤の併用による癌治療法も,この切除後の再発率を低下させることに主たる日的があることは論をまたない.この方面でも内外に多数の研究が報告され,実験的には,この方法が優れたものであることが証明され5),また臨床的にも手術と制癌剤の併用療法は多少の効果を上げていることが認められて来つつある6)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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