icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科18巻11号

1963年11月発行

文献概要

特集 癌の進展 論説

病理学からみた癌の進展—転移に関連する若干の基礎的問題

著者: 今井環1

所属機関: 1九州大学医学部癌研究所病理部

ページ範囲:P.1365 - P.1369

文献購入ページに移動
緒言
 手術や照射のような,局所を対象とする治療の技術が進歩して来る一方,化学療法の普及が著しくなると,医師や研究者の目が,あらためて癌の転移へと向けられるのは自然である.日本癌学会総会の演題を見ても,ここ数年来,転移という部門が特に設けられるようになり,転移を主題としたシンポジウムも開かれるといつた情勢にある.文部省科学研究班にも転移の班があり,なかなか活発であつた.
 このような気運になつても,癌の転移には研究者を容易に近づかしめない大きい問題が,幾つも残されている.本質的な問題になると,ほとんど判つていないとさえ言わなければならぬのが現状である.このような雰囲気の中では,じつくりと基礎的の考察から練りなおすのが,むしろ近道であるかも知れない.それにしても,癌の転移には余りにも多くの基礎的問題が包含されており,限られた紙数でその多くに手を染めることは不可能である.ここでは任意に若干の問題だけを取上げることとし,考察を加えてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?