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文献詳細

雑誌文献

臨床外科18巻11号

1963年11月発行

アンケート

難治腹水にはまずどういう手術がよいか

著者: 秋田八年1 杉江三郎2 本庄一夫3

所属機関: 1鹿児島大学医学部外科 2北海道大学医学部外科 3金沢大学医学部外科

ページ範囲:P.1430 - P.1432

文献概要

 腹水を一応,"腹腔内に水分が異常に多く貯溜した状態"と規定すると,その貯溜してくる水分にもいろいろな性状があり,またその原因疾患も多彩である.したがつて腹水はその性状と原因を適確に把握して治療に当らないと,しばしば難治となる一方,原因的療法を施すことにより比較的容易に治癒し得る場合もある.例えば慢性収縮性心膜炎では頑固かつ高度の腹水を伴うが,これは心膜剥離術で劇的効果が期待できるし,鬱血性心不全をきたす肺動脈狭窄,僧帽弁狭窄,三尖弁閉鎖不全などの場合,もし心の手術的修復が可能であれば,これにより腹水を治癒せしめ得る.
 結核性腹膜炎の腹水は開腹手術により診断が確定すると,抗結核剤の投与により容易に軽癒する.また最近,卵巣偽粘液嚢腫を原発巣とする腹膜偽粘液腫に対し,原発巣の摘除,腹膜転移巣の徹底的廓清とアルキル化抗癌剤の腹腔内注入により一応軽癒せしめ得た経験がある.しかし一般の癌性腹膜炎の腹水の治療は,今日の時点ではなお期待薄であろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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