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文献詳細

雑誌文献

臨床外科18巻12号

1963年12月発行

アンケート

呼吸不全者の麻酔および手術方法

著者: 脇坂順一1 綿貫重雄2 山本道雄3

所属機関: 1久留米大学医学部外科 2千葉大学医学部外科 3慶大医学部麻酔科

ページ範囲:P.1556 - P.1558

文献概要

 従来,呼吸不全者に対して手術を行なうことは危険であり,また,困難であると考えられていたが,近時このような症例に対しても手術がある程度可能となつてきた.これは呼吸不全に対する病態生理の解明に負う所が大であると思う.一般に,呼吸不全者(Respiratory cripple)とは換気面の大きな障害があるのは勿論であるが,また,同時に循環面の障害も伴う場合の多いことを指摘しておきたい.このことはRespiratorycrippleの麻酔および手術のやり方に基本的な問題となるからである.
 さて,Respiratory crippleに対する手術および麻酔の方法であるが,それはRespiratory crippleを招来した原疾患の如何により,その態度を異にするものである.すなわち,重症肺結核,肺化膿症,気管支拡張症,肺癌,僧帽弁狭窄症のように,各疾患によつて異なる.また,res-piratory crippleの病態生理のあり方により,麻酔および手術は左右される.例えば,換気面績と肺血管床の減少がほぼ平衡しているような重症肺結核の場合では,術中,術後のAnoxia, Hypercapneaに注意すれば,手術は可能であり,これに較べVentilation perfusion relationshipの障害され易い場合(例えば,肺癌肺膿瘍にみられる)では麻酔および手術は余程慎重でないと失敗することを指摘しておきたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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