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文献詳細

雑誌文献

臨床外科18巻2号

1963年02月発行

文献概要

グラフ

慢性硬膜下血腫

著者: 森安雄信1 山本亨2

所属機関: 1日本大学医学部外科 2日本大学医部麻酔科

ページ範囲:P.141 - P.148

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頭部外傷による頭蓋内出血のうちでも慢性硬膜下血腫は手術的療法の絶対適応ともいうべきもので,また術後なんら後遺症状をのこさず治癒する場合が大部分である.近年頭部外傷の激増にともない頭蓋内出血の症例も増加し,日常われわれが診療する機会も多くなつてきたが,慢性硬膜下血腫は診断が比較的容易であり,診断が決定すれば,手術もさして大きな侵襲ではないので,今後この疾患の手術例はますます増加するものと思われる
 われわれの教室でも過去3年間に本症例30例の手術を行なつたが,全例とも手術成績良好で術後の後遺症状もみとめない.最近経験した1例を示すと,患者は41歳の男子で,昭和37年9月25日単車に乗車中電柱に激突,左前額部を強打した.約2時間の意識喪失があつたが,意識回復してからは歩いて帰宅している.その後は頭痛,嘔吐,発熱等はなく,四肢の運動および知覚障害もないまま平常通り仕事をしていた.同年11月14日前頭部痛とめまいがあり嘔気を催したが、約10日間の安静で軽快した.12月2日になつて朝から頭痛を訴え,嘔気嘔吐をともない漸次増強するため来院した.外傷後の臨床経過および脳動脈撮影によつて硬膜下血腫なることを確認したが,この症例は頭部外傷後約2カ月のlatent intervalを経て症状をあらわした慢性硬膜下血腫である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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