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文献詳細

雑誌文献

臨床外科18巻2号

1963年02月発行

研究

橋本病の病理組織学的分類と臨床病態生理

著者: 藤本吉秀1

所属機関: 1東京大学木本外科

ページ範囲:P.185 - P.201

文献概要

はじめに
 従来文献に橋本病として報告されているものを見ると,その殆どが臨床的に甲状腺悪性腫瘍との鑑別が困難として手術されており,術後の病理組織検査で始めて診断されたものが多いが,ようやく最近になり,この疾患には血清蛋白分画に異常があり,甲状腺ホルモンの合成過程に障害があり,さらに血中に自己抗体が証明されることが明らかとなつたので,これら臨床諸検査によつて組織検査をまつまでもなく診断が容易となつた.この病態生理の解明とともに,従来橋本病の定義は甲状腺全体に上皮の酸好性変性,リンパ系細胞浸潤,およびリンパ濾胞の発現のあるもののみに限定されていたのが,さらに組織変化の枠をひろげ散在性にこれらの炎症性変化のあるものも含める傾向が現われ,組織像の上でも上皮の変性は必ずしも必須の条件ではなく,むしろ甲状腺自己免疫の観点からリンパ系細胞浸潤の方が一義的な病変として重要視されるようになつてきた.
 著者はかかる観点から,さきに研究の一端を発表したが1),その後さらに多くの症例を経験し,今日では専ら保存的療法により経過を観察しているので,ここに橋本病と称せられるものをまず病理組織所見の上から特徴ある型のものに分類し,臨床諸検査成績の診断的価値,経過によるこれらの値の変動,ならびに病理組織像との対比についてあらためて検討を加えてみたいと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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