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文献詳細

雑誌文献

臨床外科18巻2号

1963年02月発行

文献概要

検査と診断

小腸癒着のX線診断について

著者: 加藤富三1 金内秀士2 駒崎富士男2

所属機関: 1日本医科大学放射線教室 2日本医科大学斉藤外科教室

ページ範囲:P.223 - P.234

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I.はじめに
 小腸は生体において消化吸収に不可欠な役割を果し,その病態の検索は臨床的に極めて重要であるにも拘らず,そのX線学的研究は消化管の他部に比較して乏しいと云えよう.その原因として,小腸のX線検査は「労多くして功少なし」.と云うような嘆きがしばしば発せられて来た.しかしX線装置およびX線検査方法の進歩と共に小腸のX線診断法は最近とくに注目をひいている.例えば,1950年ロンドンにおける国際放射線学会ではこの問題が大きくとり上げられたし,また,1955年にはフランス放射線学会ではシムポジウムの主題とされ2),わが国では1961年4刀に医学放射線学会総会で篠崎3)が宿題報告を行ない,その後この領域におけるX線診断は着実に進んでいる.
 さて日本医科大学第一医院放射線科において,昭和36年中に消化管のX線精密検査を受けた患者1112例中,小腸の造影検査は66例(5.9%)で,その中約2/3は癒着の診断であつた.すなわち,小腸のX線検査は比較的少ないとは云えるが,総数としては決して無視出来るものではなく,また癒着のX線診断は特に直ちに手術の適否および程度の決定に与かるものであり,外科医にとつて極めて重要なものである.ここに小腸癒着のX線診断について種々考察を加えわれわれの経験を述べることとする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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