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文献概要
いまや心臓外科は新しい段階に至り,人工弁等によるいわゆるReplacement heart surgeryが一つの焦点となりつつある.われわれは人工心肺による体外循環技術そのものが学界の話題であつた昭和33年(1958)当初より,本邦における斯界にさきがけて,心臓外科の将来の問題として個々の重症疾患の研究を志し,それらの一環として人工弁移植の実験的検討を開始し,同年日本胸部外科学会に右心耳,乳頭筋固定型Siliconized rubber valveによる僧帽弁完全移植の成績を発表した.その後昭和35年7月,最初の人工弁移植の臨床例を施行して以来,現在49例におよんでおり,漸く軌道に乗つた感がある.この間の道は決して平坦なものでなかつたが、ここにわれわれの人工弁完全移植の手術手技を解説して,斯界の発展に資したいと念ずる.
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