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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科18巻4号

1963年04月発行

雑誌目次

外科の焦点

悪性腫瘍の生化学的知識

著者: 三浦義彰 ,   手塚統夫

ページ範囲:P.433 - P.439

 悪性腫瘍——あるいはもつと局限して癌——の生化学的知識について述べる前にここにいう癌とは何を指すのか,をはつきりさせておく必要がある.なぜなら外科医が日常扱つているのはほとんどが人間の臓器に原発する癌であり,一方生化学者がとりくんでいる癌は多くはダイコクネズミやハツカネズミの,それも移植可能な癌細胞である.両者の間には当然のことながら相当大きな差があるからである.遠藤1)は癌の定義として「体細胞が不可逆的な変化をうけて無制限な増殖をとげ転移をおこしてやがて宿主をたおすにいたる未分化な細胞(群)」であるとしている.この定義にてらすなら人の原発癌も動物の移植癌もともに癌と呼ばれて当然のものであり後者に関する基礎的研究が前者の本態を明らかにし,また診断や治療にも役立たせ得ることが首肯される.癌の生化学的知識に寄与した実験の多くが動物の移植癌によつて行われ,さらに一見無縁とさえ考えられる細菌やヴィールスを使つてなされたことを思えば,「人癌の研究こそが癌研究の主流である」といつた考え方は狭量に過ぎよう.今日,生化学の分野における癌の研究は増殖,調節機構,遺伝,変異,分化などの主題ときりはなしては考えられず,またそのおのおのが癌研究に多くの知見をもたらしているのである.これらの知見のなかからここでは特に発癌機構,癌の特異性,診断および治療面における応用の四項について生化学的な面をとりあげてみたい.

グラフ

麻酔科外来の意義と役割

著者: 若杉文吉

ページ範囲:P.441 - P.447

 「麻酔科外来」とは適当な表現ではないが,神経ブロックを中心とした各種疼痛および自律神経疾患の治療ならびに診断を行なう外来で,麻酔学と密接な関連がありさし当り麻酔科が担当するという意味で名づけたものである.
 従つて広い意味のpain clinicというよりは,nerve block clinicといつた方が当つているかもしれない.しかし近い将来にはやはり広い意味のpain clinicとしての専門外来に発展させることが望ましい.

救急外来—関東労災病院救急室

著者: 大野恒男

ページ範囲:P.449 - P.453

 私が勤務している関東労災病院は,労働災害および職業病の診療を第1目標として設けられたものであるから,これらの傷病者の最終医療機関として義務づけられているのであるが,同時に一般救急指定病院もあるので,日夜いわゆる労災患者だけでなく,あらゆる外傷・急性腹症・薬物中毒・急性心不全などいろいろな種類の急患が多数運び込まれている.こういう病院に開院直後より引きつづき勤務してきたために,救急患者の取扱い方法とか,救急室の受入れ態勢あるいは診療機構の問題など,深く考えざるを得ない機会を得たわけである.
 総合病院の患者受入れ機構を分けてみると,(1)一般外来,(2)他医師よりの紹介,(3)救急外来,の3つとなる.この(3)の救急患者を一般外来患者と同じ経路で受けいれて診療することは,日常の外来診療の妨げとなるだけでなく,外傷が身体多部位に発生している場合などには,各専門科の連絡がとりにくく,且つ責任の所在も甚だ曖昧となるおそれもある.

論説

肺癌の診断および治療における問題点

著者: 卜部美代志 ,   水上哲次 ,   瀬川安雄 ,   山本恵一 ,   綱村史郎 ,   宮崎誠示 ,   渡辺憙市

ページ範囲:P.455 - P.472

緒言
 癌治療の中心をなすものは,今日外科剔除術であることは一般のみとめるところである.肺癌の切除療法も,技術的には一応解決されている現状であるが,その切除率および手術成績は他臓器の癌にくらべて,なおかなりの遜色を示すと云わねばならない.私共の外科で最近8年間にとり扱つた肺癌の症例は125例で,その中根治手術が行われたもの61例(48%)であり,同時期に行われた胃癌等の切除率にくらべてかなり低率である(第1表).
 この問題は勿論早期発見,早期手術によつてある程度解決され得る性質のものであることは云うまでもない.そこで主として私共の経験に基き,肺癌の早期診断および治療成績向上策の両面において,それぞれの問題点について検討を加えたい.

乳癌手術後の上腕リンパ浮腫

著者: 島田信勝 ,   天晶武雄 ,   阪口周吉 ,   馬場正三 ,   吉崎聰

ページ範囲:P.473 - P.478

緒言
 乳癌手術にさいして外科医にとつて最も患わしい合併症の一つに術後の上腕浮腫がある.一般的に四肢のリンパ浮腫は炎症のものを除けば, Ⅰ.特発性のものとしてCongenital(Simpleおよびfamiliar),Preacox, Forme tarde. Ⅱ.二次性のものとしてリンパ節,リンパ管のNeoplasmaによる侵害,リンパ節あるいはリンパ管の外科的またはレントゲン的障害.に分類することが出来よう.
 乳癌根治手術後の患側上腕の浮腫は,術後数日ないし数週で現われる二次性のリンパ浮腫で,外科的に腋窩リンパ節およびリンパ管を脂肪織と共に取り去ることによつて惹起されるものと,数週ないし数年を経て現われるものに大別される.後者にはレントゲンまたは60Co照射による場合と癌の転移再発による場合とがある.また術後3ないし4週を経て有痛性の浮腫が現われることがあるが,これは副腎皮質ホルモン使用による影響と見做しているものもある.上腕のリンパ浮腫を来たすと浮腫の程度によつて上腕さらには前腕,手背にまで至る高度の変型や,緊満感,運動障害を招く.この場合自然消褪を期待することは不可能で,かかる高度の浮腫には乳癌の再発を特に考慮にいれねばならない.Halstedは再発でない高度のリンパ浮腫に対して"Elephantiasis chirurg-ica"なる名称を与えた.

私どもの胃癌手術の成績と反省

著者: 脇坂順一 ,   弓削静彦 ,   山内胖 ,   樺木野修郎

ページ範囲:P.479 - P.485

いとぐち
 Billrothが胃癌に対して初めて胃切除(B-I)を行なつたのは1881年1月29日であつた.従つて,胃癌の外科は今日迄約80年の歴史を歩んだことになる.その後多くの先達により,胃癌の外科は手術の他,診断特に早期診断,発生病理,後療法,予後その他多くの研究が積み重ねられ,手術の直接死亡率は著しく低下した.特に最近,手術手技の向上,輸血,輸液の進歩,麻酔の発達,抗生物質の普及などによつて,さらに死亡率は低下しているが,その遠隔成績に関しては,胃癌の外科は胃潰瘍外科にくらべ年と共に進歩のざめましいものがあつたかと云うと残念ながら"然らず"と云わねばならない.私どもは胃癌根治手術成績の向上は如何にして,これを求むべきかを吟味検討中であるが,その足がかりの1つとして,脇坂が教室を担当して満10年間に取扱つた胃癌患者の手術成績,特に5年以上を経過したものの遠隔成績を検討すると共に,胃癌切除標本の病理組織学的所見と予後の関係についても調査し,今後の反省の資料としたので,その大要を報告しておき度い.

耳下腺腫瘍について,特に混合腫瘍とその再発について

著者: 高橋希一 ,   小野寺時夫 ,   阿部力哉

ページ範囲:P.491 - P.500

 いわゆる混合腫瘍は耳下腺腫瘍を代表する普遍的な腫瘍であり,その性格は概ね良性である.そしてその診断も一般には容易である.臨床上耳下腺の腫脹のある患者を診るさい,いわゆるおたふく風邪の場合とか,急性炎症症状を呈するものまたは全身的な疾患に併発したものなどの例においてはその診断が誤られることも少なく,処置もおのずから定まる.しかし幾月も幾年もの長い年月を経て存在している慢性の耳下腺腫脹ないし腫瘤のときは,それが果して良性のものか悪性のものであるかということが臨床所見上からは必らずしも適確に決定し得ない.上述のようにいわゆる混合腫瘍は発生頻度の高いものではあるが耳下腺腫瘍をその故に一括して総て混合腫瘍と見做して,良性のものとの見地から安易に取扱うような傾向がときに見受けられることは注意すべきことである.確かに耳下腺混合腫瘍は周知のごとく多種多様の組織学的な所見を持つてはいるが,そのことが逆にどのような組織像を持つ耳下腺腫瘍をも総て混合腫瘍と呼んで差支えないことを意味するものではない.さらに,混合腫瘍であるにしてもそれが必らずしも良性でなく,また良性であつたものでも悪性に変化することのあることなどの諸点にも十分留意すべきである.

研究

悪性腫瘍の化学療法に対する低体温法の応用

著者: 辻公美 ,   塚崎鴻 ,   林源信 ,   於保健吉 ,   千葉上 ,   菊田一貫 ,   千葉彰彦 ,   早田義博 ,   篠井金吾

ページ範囲:P.501 - P.509

緒言
 現在の癌の治療は外科的療法にせよ,放射線療法にせよ,転移という問題の解決において,一つの大きな壁に当つているのであるが,その解決策としては化学療法の完成を待望する以外にない.癌に対する化学療法は確かに目ざましい進歩をとげてはいるが,治療成績は必ずしも満足なものではない.
 元来,抗腫瘍剤は腫瘍細胞に作用すると同時に正常細胞に対しても影響を及ぼし,その較差の少いものでは使用に堪えなくなる期間が短縮される.従つて腫瘍細胞と正常細胞の感受性の較差を大きくするよう,なんらかの工夫を加え,化学療法の効果増強を計らねばならない.その方策として,腫瘍細胞をして,抗腫瘍剤に対する感受性を亢めさせる手段を探求する必要がある.

手術の実際

血管補綴修復術(Patch-angioplasty)による血管再建術

著者: 大原到 ,   高橋希一 ,   大内博

ページ範囲:P.510 - P.516

 血管外科の対象として取扱われておる疾患は主として動脈瘤および末梢血行障害であるが,この他に,この2,3年来種々の臨床症状が臓器の乏血状態によつて惹起されることが判明し,場合によつては乏血の原因となる動脈の狭窄,あるいは閉塞を除去して臓器の血流状態を改善することにより症状が寛解することが明らかにされつつある.
 例えば内頸動脈や椎骨動脈の狭窄または閉塞性変化によりいわゆる脳卒中様発作,すなわち一過性の運動不全麻痺や,言語障害または眩暈,視力減弱等が起きるが,手術によりこれ等血管の狭窄部位を是正して脳血流を増加せしめることによりかかる発作が消失する1)2)3).先天的あるいは後天的な変化が腎動脈に起こり動脈内腔が狭められた場合,これがいわゆるGoldblatt型腎性高血圧の原因となり,これに対して腎血流量を増す手術により,永久的な降圧作用を認めることができたという報告が次第に増してきた4)

検査と診断

胃癌の細胞診について

著者: 綾部正大 ,   村上明

ページ範囲:P.517 - P.525

 診断検査の立場から"胃癌の細胞診"の実際を,実地外科医の皆さんに平易に解説せよとの注文を戴いた.本来,臨床検査法というものは,できるだけ手技が簡単で,誰れでも容易に実施できること,さらにその判定にさいしては,できるだけ主観的因子の介在することが少なく,客観性の大きなもの程理想的であろう.このような点から,細胞診はその普遍性にともすれば不利な立場におかれていたことは否めない事実である.しかし,細胞診の初期の時代にくらべると,種々の改良工夫が施された結果,それ程困難な検査法とはいえなくなつた.しかも,最近のように,非常に初期の病変を発見しようとする努力が,強く払われるようになつてきた現在では,単に簡単安易な診断検査法のみに頼つているわけにはゆかなくなつてきた.
 胃癌の細胞診が,レ線診,胃鏡診,胃カメラ診と共に,胃癌診断の上に欠かすことができない重要な検査法として,漸次広く普及しつつあることは,極めて喜ばしいことで今後一層普及発展してゆくことが切望される.

講義

癌の化学療法について

著者: 島田信勝

ページ範囲:P.527 - P.539

 わたくし島田でございます.きよう私がこれからお話ししますのは,幾ら骨をおつても癌はまだなおらんぞというところで,大へん悲観的なことでありますが,しかしこれからおそらく皆さんが10年か20年すぎたころ,あるいは私どもはこの世にはいないかもしれませんが,ともかく癌の治療が成功しましたころに,あんな話を島田からきいたことがあるというような思い出話にでもなれば幸いと存じます.
 最初にここにあるレントゲン写真をみていただきたいと存じます.最近女子医大外科で根治手術の出来なかつた胃癌のレ線像でありますが,30歳の女の方で心窩部に大きな腫瘤がふれ,幽門狭窄の症状を訴えて来院したのであります.開腹所見をうかがいますと,胃は全部癌性浸潤をうけ,膵ばかりでなくその周囲にまで広範な播腫を認めどうにもならなかつた腺癌の症例だつたそうですが,これらの写真をみましても幽門狭窄の所見があり,内容のうつ滞が認められます.しかも胃全体が何となく硬い感じがあり,また粘膜皺襞像も判然としない.

保険の話

社会保険診療の問題について(4)

著者: 皆川健次

ページ範囲:P.540 - P.541

 社会保険医療改善の諸問題については織畑教授が2月号でその総てを極めて明快適切に論説し尽しているので,私は開業医として日頃感じていることを具体的に述べてみたい.
 開業医を悩ませる保険診療の問題点はやはり,1)制限診療の問題.2)審査制度の問題.3)低医療費の問題.4)保険事務の繁雑の問題.などがあげられる.

トピック

熱傷にγグロブリン,他

ページ範囲:P.542 - P.543

 熱傷は依然として最も厄介な問題である.ことに感染は重要な死因になつている.レンサ球菌はよくコントロールされ,抵抗性ブドウ球菌にもmethicillinその他の合成新ペニシリンが登場し有効になつたが,大腸菌簇・プロテウス・ピオチアネウスなどのグラム陰性菌は依然としてコントロールがむずかしい.そこで,そうした抗生物質にのみ頼る方法でなく,別の治療法が考案されてきた.たとえば,ピオチアネウス感染なら,その菌は毒力が高くないから,個体の防禦能ということがより重要になる(Annotations:Lancet2:1210,1962).しかし,個体が免疫学的に低下するかというと,熱傷者でそれが確かに証明されているわけではない.properdinが低下するという成績はあるが,凝集素は発生しているという(Lowbury,E.:J.Hyg.Camb.55:266,1957).熱傷患者血清のγグロブリンはむしろ高い.しかし,早期に感染を防ぐほどには早く上昇しないらしい.Kef-alidesらは熱傷児のアルブミン,血漿,電解質,γグロブリン療法を比較した(New Engl.J.Med.267:317,1962).γグロブリンは他の抗生物質よりも,早期感染防止により有効であるという.

症例

良性葉状嚢胞肉腫

著者: 天晶武雄 ,   山崎寛一郎 ,   恩田英明

ページ範囲:P.544 - P.548

 1838年にドイツの腫瘍学者Johannes Müllerにより名付けられた葉状嚢胞肉腫,Cystosarcoma phyllodes,とは,乳腺に発生し,Giant fibroadenoma, Giant intr-acanalicular myxoma, Adenosarcoma, Adenocystosar-coma, Adenoma pseudosarcomatodes, Adenomyxoma,Brodie's tumor, Fibroadenoma intracanaliculare fibr-omastosum, Malignant fibroadenoma, Alveolar sarc-oma, Carcincsarcoma, Composite cystoids, Cystoade-nosarcoma, Cystosarcoma papillare, Cystoma papillif-erum, Cystosarcoma arborescens, Cystosarcoma intra-canaliculare, Fibroadenoma intracanaliculare sarcoma-todes xanthomatcdes, Fibroadenoma phyllodes, Fibr-omyxoma intracanaliculare obliterans, Gelatinous cy-stosarcoma, Giant mammary myxoma, Indigenous sa-rcoma, Intracanalicular myxoma, Mixed tumor of the breast, Serocystic sarcoma等40数種の名称をもつ間質性腫瘍の一つの呼び名である.

発病以来10年の経過を示した腹膜仮性粘液腫の1症例

著者: 千葉博史 ,   鈴木時雄

ページ範囲:P.548 - P.552

1.緒言
 腹膜仮性粘液腫は,膠様粘液性物質が腹腔内に限局性またはびまん性に,一部は被膜におおわれた腫瘤状に発生増殖する疾患をいい,主として仮性粘液腫性卵巣嚢腫または虫垂粘液嚢腫の破綻により続発する病変であるとせられている.本症は組織学的には比較的良性の腫瘍といわれるが.臨床的には初期症状が極めて少なく診断は困難で,手術を行なつても再発し易く,数カ月から数年の経過で悪液質に陥り腹膜機能死をとげるのが多いとされている.
 本症は1884年Werthにより始めて記載され,わが国では明治32年天野5)の報告以来現在迄に170例を数えているが,本邦の報告では手術所見または剖検所見の報告が大部分で,長期間にわたる経過を観察した報告は少なく池本27),山田ら47)の5年,川上の8年59),香山の9年26)という記載が散見されるのみである.

骨疎鬆症と脊椎骨折,晩発性クル病に基因すると思われる骨疎鬆症の1例について

著者: 野島元雄 ,   浮田春雄 ,   真鍋正茂

ページ範囲:P.553 - P.556

 脊椎骨折は日常多く遭遇し,そのほとんどが重度の外傷に基づくが,椎骨がいわゆるOsteoporoseの状態を呈する時は,軽微な外力によりあるいは潜行性にいわゆる疲労性骨折として発症して来る場合も少くない.私共は脊椎が全般的に疎鬆症を呈し,軽微な外力により椎体圧潰を来し,下肢に麻痺を伴い,その脊椎疎鬆症の原因が晩発性クル病によると思われる一例を経験した.
 軽微な外傷により脊椎骨折の臨床像を呈する時には,脊椎疎鬆症によることが多く,その疎鬆を来した根本原因を検索することが,治療上極めて心要であることを痛感したので,上述1症例を展示し,この方面に対する関心を改めて喚起したい.

外国文献

広島の甲状腺疾患,他

ページ範囲:P.559 - P.563

 広島ABCCの報告には注目すべきものが少なくないか,本報もそのひとつで,近距離被爆,遠距離被爆,被爆なし等の5553名の調査(1958年7月より1959年10月).甲状腺疾患169例,うち152例は女子.このうち単純甲状腺腫もつとも多く,simple goiter 79, singlenodular 29, nontoxic multinodular 25となつた.♀8:♂1の比.広島には地方病性甲状腺腫はない.また食物中にgoitrogenを証明したのは1例にすぎない.家族的甲状腺腫は数例であつた.ヨード摂取量は正常者と変らない.多くは海に近く住居した.被爆距離との関係は2000m以内にやや多いが,有意差ではなかつた.甲状腺機能亢進症16例(♀13,♂3).頻度は低い.症状・経過は西欧のそれと異ならず.被爆とともにstormを呈した1例あり.被爆前すでに亢進症あつたもの4例あり.センターから1400m以内の被爆者が多いが,爆照自体が亢進症の直接原因とは思われぬ.甲状腺低機能症1,橋本甲状腺腫5.この数は日本全国の頻度より決して多くないが,なお,自家抗体の証明を被爆者について行なうべきであろう.single nodule 39例のうち生検を行なつた19例では,adenoma 8,腺癌8.single noduleは1400m以内の被爆者に有意に多い.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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