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文献詳細

雑誌文献

臨床外科18巻4号

1963年04月発行

文献概要

論説

乳癌手術後の上腕リンパ浮腫

著者: 島田信勝1 天晶武雄1 阪口周吉1 馬場正三1 吉崎聰1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部外科学教室

ページ範囲:P.473 - P.478

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緒言
 乳癌手術にさいして外科医にとつて最も患わしい合併症の一つに術後の上腕浮腫がある.一般的に四肢のリンパ浮腫は炎症のものを除けば, Ⅰ.特発性のものとしてCongenital(Simpleおよびfamiliar),Preacox, Forme tarde. Ⅱ.二次性のものとしてリンパ節,リンパ管のNeoplasmaによる侵害,リンパ節あるいはリンパ管の外科的またはレントゲン的障害.に分類することが出来よう.
 乳癌根治手術後の患側上腕の浮腫は,術後数日ないし数週で現われる二次性のリンパ浮腫で,外科的に腋窩リンパ節およびリンパ管を脂肪織と共に取り去ることによつて惹起されるものと,数週ないし数年を経て現われるものに大別される.後者にはレントゲンまたは60Co照射による場合と癌の転移再発による場合とがある.また術後3ないし4週を経て有痛性の浮腫が現われることがあるが,これは副腎皮質ホルモン使用による影響と見做しているものもある.上腕のリンパ浮腫を来たすと浮腫の程度によつて上腕さらには前腕,手背にまで至る高度の変型や,緊満感,運動障害を招く.この場合自然消褪を期待することは不可能で,かかる高度の浮腫には乳癌の再発を特に考慮にいれねばならない.Halstedは再発でない高度のリンパ浮腫に対して"Elephantiasis chirurg-ica"なる名称を与えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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