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文献詳細

雑誌文献

臨床外科18巻6号

1963年06月発行

文献概要

検査と診断

小児の肝機能検査としての血清コリン・エステラーゼ測定法

著者: 長島金二12 三川宏12 岩井誠三12

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部第2外科学教室 2東京賛育会病院外科

ページ範囲:P.797 - P.803

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はじめに
 肝機能の良否は生体の諸機能を円滑に維持するために極めて重要である.このことは外科手術に広く用いられる全身麻酔のさいの種々な合併症が肝機能障害者に多く発生している点からも容易に考えられ,その検査の必要性が強調される所以である.さらに術前における患者の肝機能を知ることは麻酔方法、麻酔剤,麻酔補助剤の選択使用にあたり,種々なる副作用を軽減し,手術成績を向上させる意味からも是非とも必要なことと考える.
 成人の場合には肝機能検査法として,硫酸亜鉛試験,Cephalin cholesterol flocculation test (C.C.F.),高田反応,血中コレステリン濃度,血清ビリルビン濃度,B.S.P.および酵素活性等があげられ,必要に応じて数種の肝機能検査を行なうことも可能であるが,小児特に新生児・乳児においては,従来の検査方法では技術的に,その実施が殆んど不可能に近い.この意味で小児外科の立場からは,検体の量が少なくて済み,検査操作が容易で,しかも肝機能を十分に反映する肝機能検査法が必要となつてくる.われわれはこの目的のために,血清コリン・エステラーゼ(以下S.Ch.E.とする)活性値簡易測定法であるAcholest試験紙を使用して肝機能を測定し,その臨床的価値を検討しようと試みた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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