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文献詳細

雑誌文献

臨床外科18巻6号

1963年06月発行

文献概要

アンケート

頭部外傷—頭部外傷神経症で症状が長くつづくとき実地医家の行なうべき治療法

著者: 渡辺茂夫1 太田幸雄2

所属機関: 1中京病院脳神経外科 2大阪赤十字病院神経科

ページ範囲:P.814 - P.815

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 頭部外傷後遺症としての神経症は,まず大きく分類する必要がある.すなわち心因性反応としての神経症と,器質的変化を伴う神経症との区別である.「外傷性神経症」なる概念によるいわゆる意識的詐病に近い心因反応は経済的、環境的,心理的要素の中に生じてくるが,寧ろ最近の大部分は,脳外傷による器質的変化から来る社会的適応の変化のため,その適応能力を欠いているための重圧となつて来る場合が多い.
 われわれが取扱う神経症症状を呈するものの中に,必ずこの脳外傷による器質的変化が根底となつているものが多いことを,注目し,治療しなければならない.この問題は,脳外傷後遺症の一般的治療と,直接関連を持つもので,広い意味での,脳外傷後精神病的症状の一般的治療を考えるべきである.特に前頭葉症状,側頭葉症状,脳幹,脳底,症状等の症状の分析が必要になつて来る.この「病巣性障害」が局在する部位をできるだけ正確に捉えるため,一般神経症状,髄液,血液,尿等の理化学的検査,気脳写,脳血管写,脳波等による分析がまず必要であろうが,直接「神経症」症状の長期に亘る場合,これ等の結果から,自律神経障害,血管運動性障害,水分代謝,蛋白代謝障害,内分泌障害等と相まつて,「脳作業能力減退」が起つて来る.したがつてこの治療を同時に加味しなければ「脳外傷神経症」の治療にはならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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