検査と診断
新しい末梢静脈機能検査法
著者:
阪口周吉1
富田濤児1
遠藤巌1
堀内弘1
山田公雄1
所属機関:
1慶応義塾大学医学部外科学教室
ページ範囲:P.934 - P.942
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循環障害による四肢の慢性浮腫は大部分が静脈浮腫であるが,わが国では従来これについてはほとんど関心が持たれていなかつた.この分野の病態生理には未だ不明瞭な点が多く,したがつて治療体系も確立されていない現状である1).その大きな理由は数量的に四肢静脈の血流動態を知ることができないためである.著者らはBrodie-Tr-endelenburg法を始めとする従来の各種の静脈弁機能検査法,歩行時静脈圧測定法2)3)4),dyna-mic phlebography5)6)7),などについて検討してきたが,何れにもそれぞれ欠点があつて,満足できるものではなかつた.最近Winsor (1961)8)はDohn9),Mac Kayi10)らによるfunctional Plethy-smographyの考えから種々な体位,運動時の足関節部の容積変動を記録して静脈機能を推定する方法を発表した.著者らはこの方法を検討し,これに種々の改良を加えて簡単でしかもいろいろの静脈機能を量的に測定すべき検査法にまとめた.現在まで70余例に応用し,臨床的にかなり成果をえたと考えられるのでここに方法の詳細とその基礎的検討についてのべ,批判をえたい.