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文献詳細

雑誌文献

臨床外科18巻8号

1963年08月発行

文献概要

論説

破傷風の再発,再感染と抗毒素の再注射

著者: 舘野功1 沢井芳男2 宮崎正之助3 山本泰次4

所属機関: 1東大伝研内科 2東大伝研試験製造室 3東大伝研獣医学部 4広島大学上村外科

ページ範囲:P.1041 - P.1047

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 破傷風症例の約2/3はかなり重症な経過をとること,破傷風トキソイドの活動免疫効果のすぐれている点などを考えあわせると,破傷風治癒後には後天免疫ができそうであるが実際はその反対で,本症では再発再感染のおこることが古くから知られている.わが国でも福山ら1)が東大小児科で5回再発した例を報告しているし,舘野(1961)2)もその著書の中で再感染の自験例をのべている.
 他方不幸にして破傷風菌に再感染して発症した場合,すでに抗毒素(馬血清蛋白質)に感作されたひとに再び抗毒素を使うことはアナフィラキー様反応,あるいは促進型血清病,加速された異種蛋白質(すなわち抗毒素)の排泄などの可能性が既に指摘されているが,破傷風の治療にはやはり抗毒素を一定量用いるのが合理的と考えられる.そこでわれわれは破傷風の再発ないし再感染の頻度,抗毒素再注射時の反応が実際どのようにおきているかをしらべ.今後このような症例があつた場合の参考としたいと考え以下に報告する次第である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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