icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床外科18巻9号

1963年09月発行

雑誌目次

グラフ

食道癌の手術

著者: 中山恒明 ,   矢沢知海

ページ範囲:P.1129 - P.1136

 中山外科では,現在主として,胸部上中部食道癌に対しては手術を3期に分けて行なう,先ず胃瘻造設,リンパ腺廓清術を行ない,次いで術前照射2000r照射後,第2次胸部食道全剔,頸部食道外瘻造設術を行ない,6カ月〜1年後再発なく,全身状態改善されたものに対し,第3次胃管挙上,胸壁前食道胃吻合術を行なつている.また下部食道噴門癌に対しては,術前照射後,左開胸食道空腸吻合(β式吻合)を行なつている.今回は紙面の都合上,また一般医家への必要性を考えて,胸部下部食道癌に対する術式について紹介する.

Photographic & Radiographic Atlas of Anatomy〔4〕

著者: 横地千仭

ページ範囲:P.1192 - P.1197

 脊椎は特殊な人ではともかく,一般に漠然と考えられているほど自由に曲るものではない.体操などで強く曲つてみえるのは股関節の運動によつてそうみえるものであろう.これは18歳の女性で,筋を除去した後破壊一歩手前まで曲げて撮影したものである.

外科の焦点

胃の冷却および冷凍療法

著者: 大井実 ,   長尾房大 ,   池内準次 ,   井上勝雄 ,   貴島政邑 ,   成川恒夫 ,   亀田慶三

ページ範囲:P.1137 - P.1143

Ⅰ.まえがき
 胃出血の治療問題については,古くから,内科的療法を支持するものと,外科的療法を支持するものとの二派に分れて論議がたたかわされてきたが,その論議の分界点の一つに自然止血の可能性という問題がある.内科的療法を是とするものは自然止血の可能性を高く評価して手術的療法はその必要なしと断じており,一方,外科的療法を支持するものは,自然止血の可能性に未練をもちすぎて手術の時期を失することの弊害を強調し,十分に管理された早期手術がきわめて安全になされていることを主張しているのである.したがつて,いずれにしても,自然止血の可能性ということが問題の中心となつているのであるが,内科側にしろ,外科側にしろ,出血という現象そのものについてはほとんどなりゆきにまかせたままのかたちで治療法の是非を論じているのであつて,止血効果を促進させて治療成績の向上をはかるという方向にむかつての努力も少なかつたし,その方面の業績もまことに微々たるものである.いうまでもなく,出血対策の第一目標は止血,救命にあるわけであるから,たとえ原疾患が何であろうとも,まず,止血効果を促進することに主力をそそぐのが原則であるが,従来は適確な治療法がなかつたため,この止血という本来の目的をはなれて一足とびに治療方針の是非を論じてきた感が強い.

論説

悪性腫瘍の放射線治療

著者: 重松康 ,   浜崎靖 ,   真崎規江 ,   金光正志 ,   東巌

ページ範囲:P.1145 - P.1155

はじめに
 悪性腫瘍の問題は全世界を挙げての現在の医学の1つの焦点で,今春の医学会総会を振返つてみても,4課題の特別講演と5課題のシンポシウムが,最大の会場(フェステイバルホール)で行われ,その会場を殆ど満員の盛況に終止させた.その中で治療に関連するものとしては,放射線治療,制癌剤というように,方法論的にまとめられたシンポシウムの外に,胃癌,食道癌,肺癌という風に,臓器別の診断,治療に関するものが持たれて,放射線医学の代表者がそれぞれの場において,自分の経験した材料をもつて他の分野と議論をかわしたことは,今までの総会ではちよつと見られなかつたことである.それは,放射線治療がわが国にあつても長い暗黒時代ののちにようやく再認識され始めたことを意味するであろうし,また,この間の放射線治療医の着実な成長と受け取られた人もあろう.
 ところで,著者の1人,重松は,立入教授の司会になる"悪性腫瘍の放射線治療"のシンポシウムで,頭頸部領域の腫瘍を担当したが,このシンポシウムの構成は次のようなものであつた.

十二指腸憩室の臨床経験

著者: 村上忠重 ,   大津留敬 ,   山本三雄 ,   溝口一郎 ,   山崎又次郎

ページ範囲:P.1157 - P.1162

Ⅰ.緒言
 今から約8年近く前のことであるが,発作性の上腹部激痛を訴えて入院した,47歳の女性があつた.諸所の病院で胃,十二指腸潰瘍,あるいは胆石症などを疑われて検査を受けたが,症状を説明するような所見は何処にも発見されなかつたという.当科における検査でも同様であつたが,最後に大きな十二指腸憩室が膵頭部に存在することが分つた.当時膵頭の憩室だけを剔出する自信がなかつたので,この患者にBillroth Ⅱ法による胃切除術を施行した.幸い激しい疼痛発作は去り,患者は喜んで退院したが,上腹痛が全く消失したわけではなかつた.なお不規則な軽い疼痛が時に起り,稀には鎮痛剤の注射を必要としたこともある.しかし疼痛は時間と共に軽減し,現在では殆んど医治を求めることはなくなつたが,残念なことに一向に太らず,現在はそれが患者の唯一の愁訴となつている.
 この例を経験してから,私どもは十二指腸憩室という病気が,上腹部消化管の疾患の中で,時に奇妙な役割を果たすことを知り,胃十二指腸の透視にさいし,出来るだけ見落さないように注意するようになつた.

手術と糖尿病コントロール

著者: 島田信勝 ,   伝田俊男 ,   前田外喜男 ,   宇賀神一夫 ,   松田正和 ,   中山祐 ,   服部弘道 ,   飯塚積 ,   福村高和

ページ範囲:P.1163 - P.1172

 最近外科手術にさいして尿糖を有する患者,既往に糖尿病を有する症例,あるいは現在明らかな糖尿病を合併している症例が次第に増加している.また本邦における食生活は最近非常に向上し高蛋白,高脂肪食餌摂取の結果,各種の代謝異常を認める症例が増加し,小林2)は本邦の最近の糖尿病患者は100有余万人の多数が存在すると報告し,瀬木1)は糖尿病死亡統計より老年糖尿病患者の死亡率が近年著しく上昇を示していることを発表している.
 糖尿病の代謝異常には糖質は勿論,蛋白,脂肪その他種々の代謝の異常がみられ,またこれらのために動脈硬化,腎,神経および眼障害等を来すことも少なくない.かかる状態に対して,外傷,手術等の侵襲が加わると容易に重篤な合併症を呈することは当然であるにも拘らず,外科医の関心が薄く,手術侵襲によつてケトアチドージス,昏睡等の重篤な合併症状をみてはじめてその対策を開始することがしばしばである.かかる点より教室においては糖尿病と手術との相関関係を考察し,術前,術中,術後管理の合理的実施方法を検討したのでその一端を報告する.

唾液腺腫瘍について

著者: 鈴木正弥 ,   篠沢貞夫 ,   宮本満之 ,   崔仁瑞 ,   戸谷修二

ページ範囲:P.1173 - P.1179

 唾液腺腫瘍は稀有な疾患とはいえないが,その分類,発生説および悪性度などについては現在なお意見の一致をみない点もあり,また日常臨床上その診断および治療の適確さを期し難い場合も多いようである.
 教室において最近7年間に唾液腺腫瘍28例を経験したが,おもに混合腫瘍(以下混腫と呼ぶ)Mucoepidermoid tumor (M.T.)およびWarthin腫瘍(W.T.)などについて考察を加えたい.

筋弛緩剤の使い方

著者: 西邑信男

ページ範囲:P.1181 - P.1187

 筋弛緩剤はその名のしめすごとく,筋肉を弛緩させる作用のあるものであるが,筋肉の中でも,平滑筋すなわち,心筋,気管または消化器の筋には作用を及ぼさない.
 横紋筋にしても,呼吸筋,四肢または腹部の筋にたいする作用の程度は,各薬剤によつて多少の差はあるが,ことなるものであり,また動物と人間ではいろいろの点でその作用はことなつてくる.

手術の実際

腸外科—Ⅲ.腸閉塞症(1)

著者: 西本忠治

ページ範囲:P.1198 - P.1205

 イレウスと診断されて手術されるようになつても,単に機械的イレウスというだけで開腹しなければならないこともあるが,単純性イレウスか,小児腸重積症,S状結腸捻転症,索状物による絞縊,あるいは嵌頓症などの複雑性イレウスかその閉塞部位はどこかなどを予め知ることができれば,手術の要否を決定しうるし,予後を良好にすることができる.
 イレウスのごとき緊急手術の手技選択の良否はその治療成績を左右するし,こみ入つた手技(急性炎症状癒着性イレウスの無理な癒着剥離,結腸癌によるイレウスで瀕死の状態にあるものを強引に根治手術を行なう等)を弄しようとするのは誤りで,腸管の通過障害除去が第一主義であり,最もよくなれた平易な術式を手順よく行ない,できるだけ小さな侵襲に止めるのが賢明である.術前処置は成書に詳しく述べられているが,大人の場合,輸液2000cc (ブドウ糖液リンゲル液等量混合)輸血 400 ccを目安とする.胃管カテーテルを挿入して胃内容を持続的に除去しておくことは,イレウスの種類の診断に役立つし,患者の心臓に対する腹腔からの圧迫を軽減し,強心的の意味にも重要である.また排除された胃液内容により高位のイレウスか,若しくはイレウスの発生以来どれ位の期間が経過しているかが分るものである.

検査と診断

慢性胃炎の内視鏡診断における問題点—胃カメラ,切除胃,生検による検討

著者: 城所仂 ,   竹添和英 ,   大原順三 ,   永井正見 ,   鵜川四郎 ,   寺田良平 ,   城島嘉昭 ,   八木茂久 ,   石藤孝太郎 ,   須川暢一

ページ範囲:P.1206 - P.1212

 慢性胃炎の問題について肉視鏡の立場から検討を加えたのはすでに古いことである.1944年Schindlerは胃以外の疾患による開腹例に対し,手術前胃鏡検査を行ない開腹時胃壁の試験切除を行なつて,正常および原発性慢性胃炎の胃鏡所見と組織所見とを対比している.
 こうして慢性胃炎の3つの型すなわち表層性胃炎(chronic superficial gastritis),萎縮性胃炎(chro-nic atrophic gastritis)および肥厚性胃炎(chronic hypertrophic gastritis)についてそれぞれに詳細な病理組織学的所見の裏づけを行なつた.彼の業績はその著書「Gastroscopy」にまとめられ今日なお肉視鏡学者のバイブル的な存在となつている.これに対しては後日幾つかの矛盾が指摘されて来ているが,それはあく迄内視鏡の立場を主体とするか,組織学的な立場を主体とするかによる見解の相違であり,少なくとも内視鏡が表面の変化を問題とするのに対し慢性胃炎は深さをもつた変化であることが根本的に異なることを考えても,内視鏡所見と組織所見が厳密に一致するということは難かしい問題であつて今後なお年数をかけて解決さるべき問題であろう.

講義

乳腺腫瘍の診断と治療

著者: 島田信勝

ページ範囲:P.1215 - P.1225

 大井 本日は慶大外科の島田教授に講義して戴きます.
 島田 島田でございます.今日は乳腺腫瘍の診断と治療についてお話しいたします.

海外だより

最近のあるアメリカ外科学会から

著者: 田中孝

ページ範囲:P.1226 - P.1229

 世界的規模で,史上まれにみる寒波が襲つている二月アメリカ合衆国の北西端,シアトル市は第24回Society of University Surgeonsの年次大会を迎えて,うららかな晴天に恵まれた.タコマ富士の名で在留邦人の間に親しまれているレニエ山(1440フィート)が常緑の森の彼方に美しく望まれる.誠に快い背景のもとに,3日間にわたる学会が開かれた.参会者約200名,演題28という小じんまりした学会であつたが,例年,全国各大学の指導的立場にある外科医が集まり,新しい基礎的研究を厳選して活溌な討論を行なうことで重要視されている.本年度は,Dr.Harkins, Dr.Merendinoを擁するワシントン州立大学医学部が当番校になり,学会第一日は,同大学内の講堂において,地元の研究発表が12題にわたつて行なわれた.Dr.Harkinsの教室からは,世界的にも有名な,胃酸分泌の問題に関する研究の幾つかが紹介される一方,Dr.Merendinoの研究室からは,人工弁をテストする新しいPulse Duplicatorの紹介,同種輸血に伴う血液反応の予防などの研究が発表され,これらに対して,全国のベテラン達が遠慮のない討論,批判を行なつた.

保険の話

保険制度にたいして私たちはいかに立ち向うとよいか

著者: 浦田卓

ページ範囲:P.1230 - P.1230

 "臨床外科"の「保険の話」の欄を1月号から6月号まで通読させていただいた.それぞれ独自な立場から有益な提言がなされていて,私にはたいへん参考になつた.
 しかし"保険"というものを,社会制度の一つとして私たちはどう受けとめるべきか,という基本的な態度にたいしては,提言がないようである.で,そういつた方面のことをのべてみるのも,あながち無意味ではないように思われる.

アンケート

気管支拡張症—症状の多い両側性気管支拡張症(先天性,後天性)の治療

著者: 篠井金吾 ,   高橋喜久夫 ,   宮本忍 ,   古城雄二

ページ範囲:P.1231 - P.1233

 両側性気管支拡張症の中では先天性のもので,乾性型あるいは無症状型のものが時としてみられる.このようなものは原則として手術の必要はない,他の大部分は拡張部の感染によつて炎症症状を示す.したがつて気拡症の内科的治療は感染を除去することにあるが,それによつて一次的に症状は消失しても,完全な乾性型にならない限り再燃を繰返し,種々な合併症を生じ,遂には肺性心を起し死亡することが多いので外科的療法の対象となるものである.一般的に内科的療法でも外科的療法でも治療に際しては病巣の拡がりを正確な造影で知らねばならない.気拡症の病巣の拡がりは種々雑多で,1側に限局するものは約半数で,他のものは両側性である.両側性の場合の病巣の拡がりを調べてみると,1.両側1区域に限局するもの,2.両側—肺葉に限局するもの.3.一側は区域性,他側は1肺葉に限局するもの.4.一側は1葉以内に限局,他側は多区域性.5.両側多区域性などの組合せがある.これらの中で1〜3までのものは心肺機能および全身状態を慎重に考慮すれば切除の適応となるものが多い.
 両側気拡症に対して切除療法を行なう場合に問題となる点は,左右副肺機能検査により先行術側を決定する必要があり,手術に当つては,術前に分泌物の減少を計り術中の分泌物処理の対策を十分たてておく必要がある.

Medical Notes

Pyruvate-Kinase欠乏性貧血,他

ページ範囲:P.1234 - P.1235

 遺伝的のnonspherocyticの溶血性貧血は,Dacie一派(Blood 9:414,1954)によると,G-6-P dehydrogenase欠損にもとづくタイプと,pyruvate-kinase欠損によるタイプとの2型に区別される.後者はde Gruchy (Blood 16:1371,1960)の展望によると世界文献に10例あるそうで,最近Bowmanの5例報告(Ann.int.Med.58:567,1963)が加えられ,計17例になる.多くは幼時に発見されるが成人後発見というのもあり,これは貧血が案外に軽度であることを示す.G-6-Pd欠乏は周知のように,X染色体にリンクして伝えられ,患児の母親は貧血がないのにG-6-Pd欠乏をもつている.p-k欠乏はValentine (Tr.Ass.Am.Physicians 74:100,1961)によると常染色体を介する劣勢遺伝らしく,ホモ接合体は典型的症状を呈し,ヘテロ接合体はp-kの軽度減少をみるのみで血液変化は殆んどない.p-k欠乏貧血者の血液所見は必ずしも明確でなく,deGruchy,ValentineらとBowmanとでは多少の相異がある.前者によれば赤血球は均等に円形,macrocyticであるが,後者ではそうでない.前者では脾剔でsiderocyteが赤血球の25%ほどにふえ,Pappenheimer封入体が出現したが,後者にはかかることがない.

外国文献

感染シヨツク,他

ページ範囲:P.1236 - P.1240

 グラム陰性菌感染に伴うシヨックは菌のendotoxinによるといわれるが,シヨック成立機序は殆んど明らかでない.そこで著者らは5例の感染(大部分Krebsiella-aerobacter)シヨックの血行力学を精査した.被検時血圧は大体60以下,被検時までのシヨック継続は5〜74h,このうち2例死亡した.さて,シヨック時の心指数平均1.4l/min./m2(0.4〜1.7)で正常より激減.総末梢抵抗2075dynes/sec/cm−5(1800〜3060)で著明に増加している.静脈圧6.1mmHg(1.5〜9.0).循環時間28.6sec(22.1〜38.5)で,かなり遅延.心総仕事量2075gm(1490〜2860)で,血圧低下はいうまでもないが,最も目立つことは心指数減少,循環時間延長,末梢抵抗増大である.血液濃縮・アシドージスは起つていない.したがつて,感染シヨックは血管拡張をきたすvasomotorcollapseということはできない.循環量,静脈圧が正常下限にあるから,鬱血性心不全ということもできない事以上の所見をイヌ・ネコなどにendotoxinを注射した成績に対比するに,イヌでは腹部内臓への静脈鬱血,ネコでは肺の鬱血という具合に,動物によつて鬱滞する部位は異るが,静脈鬱血の起ることは明かで,人体でも静脈領域への鬱滞,静脈血還流が阻害され,その結果,心送血量が減少するのであろう.

症例

特発性小腸穿孔例について

著者: 小金沢滋 ,   山本達郎

ページ範囲:P.1245 - P.1250

緒言
 特発性穿孔という言葉ははなはだ漠然とした用語で,一般に原因不明の穿孔というよりは,むしろ穿孔の原因がいろいろ考えられるがその何れに該当するか未定のものすなわち原因未定の穿孔という意味と,先天的に体質異常があつて,他の場合には考えなくてもよい場合に起つた穿孔の意味とに解せられている.
 しかし本邦の文献から特発性穿孔に関する明確な定義を見出すことはできなかつた.

術後急性肺水腫に低体温麻酔を行なつた経験

著者: 村田晃 ,   熊本亨 ,   藤原克三

ページ範囲:P.1251 - P.1253

緒言
 胸部外科における術後合併症として発生する肺水腫はその発生頻度1)2)は少いがその予後は60%以上不良を示す重大な合併症である.従来術後急性肺水腫の発生病理に関して多くの実験3)4)が行なわれ多元的な発生要因が挙げられている.この治療も発生因子に対応する多くの方法があり人工心肺も試みとしてあげられている.肺水腫の治療として低体温麻酔の試みが岡村5)6)7)により行なわれているが,低体温麻酔は実験的には肺水腫の要因2)3)4)8)9)の中であるものに対しては原因を更に助長する面と,原因を抑制する面の両面を具えていて肺水種の治療の手段として替否両論が成立する,われわれは肺結核で肺葉切除後発生せる術後急性肺水腫に低体温麻酔を行ない著効をえた例を経験したので報告する.

小児縦隔洞気管支性嚢腫の1治験例

著者: 米本仁 ,   山腰茂昭 ,   鈴木一成 ,   伊藤昭男

ページ範囲:P.1254 - P.1257

 胸部外科の発展にともない,本邦の縦隔外科も漸次普及し,昭和32年の胸部外科学会では縦隔洞腫瘍の共同研究が行なわれ,甲斐らはとくに小児の縦隔洞腫瘍について述べている.一方,間接撮影を中心とする胸部X線撮影が日常の診断技術として取扱われ,学童の健康管理の目的で集団検診が行なわれるようになつてから,小児結核対策も一段と強化されつつある現状であり,このようにして選びだされた要療養学童に他の胸部疾患学童が混在することもありうる訳で,われわれも比較的まれな縦隔洞気管支性嚢腫の剔出治験例を経験したので,その大要をここに報告する.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

78巻13号(2023年12月発行)

特集 ハイボリュームセンターのオペ記事《消化管癌編》

78巻12号(2023年11月発行)

特集 胃癌に対するconversion surgery—Stage Ⅳでも治したい!

78巻11号(2023年10月発行)

増刊号 —消化器・一般外科—研修医・専攻医サバイバルブック—術者として経験すべき手技のすべて

78巻10号(2023年10月発行)

特集 肝胆膵外科 高度技能専門医をめざせ!

78巻9号(2023年9月発行)

特集 見てわかる! 下部消化管手術における最適な剝離層

78巻8号(2023年8月発行)

特集 ロボット手術新時代!—極めよう食道癌・胃癌・大腸癌手術

78巻7号(2023年7月発行)

特集 術後急変!—予知・早期発見のベストプラクティス

78巻6号(2023年6月発行)

特集 消化管手術での“困難例”対処法—こんなとき,どうする?

78巻5号(2023年5月発行)

特集 術後QOLを重視した胃癌手術と再建法

78巻4号(2023年4月発行)

総特集 腹壁ヘルニア修復術の新潮流—瘢痕ヘルニア・臍ヘルニア・白線ヘルニア

78巻3号(2023年3月発行)

特集 進化する肝臓外科—高難度腹腔鏡下手術からロボット支援下手術の導入まで

78巻2号(2023年2月発行)

特集 最新医療機器・材料を使いこなす

78巻1号(2023年1月発行)

特集 外科医が知っておくべき! 免疫チェックポイント阻害薬

icon up
あなたは医療従事者ですか?