icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科18巻9号

1963年09月発行

文献概要

論説

手術と糖尿病コントロール

著者: 島田信勝1 伝田俊男1 前田外喜男1 宇賀神一夫1 松田正和1 中山祐1 服部弘道1 飯塚積2 福村高和2

所属機関: 1慶応義塾大学医学部外科学教室 2済生会中央病院外科

ページ範囲:P.1163 - P.1172

文献購入ページに移動
 最近外科手術にさいして尿糖を有する患者,既往に糖尿病を有する症例,あるいは現在明らかな糖尿病を合併している症例が次第に増加している.また本邦における食生活は最近非常に向上し高蛋白,高脂肪食餌摂取の結果,各種の代謝異常を認める症例が増加し,小林2)は本邦の最近の糖尿病患者は100有余万人の多数が存在すると報告し,瀬木1)は糖尿病死亡統計より老年糖尿病患者の死亡率が近年著しく上昇を示していることを発表している.
 糖尿病の代謝異常には糖質は勿論,蛋白,脂肪その他種々の代謝の異常がみられ,またこれらのために動脈硬化,腎,神経および眼障害等を来すことも少なくない.かかる状態に対して,外傷,手術等の侵襲が加わると容易に重篤な合併症を呈することは当然であるにも拘らず,外科医の関心が薄く,手術侵襲によつてケトアチドージス,昏睡等の重篤な合併症状をみてはじめてその対策を開始することがしばしばである.かかる点より教室においては糖尿病と手術との相関関係を考察し,術前,術中,術後管理の合理的実施方法を検討したのでその一端を報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?