icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科18巻9号

1963年09月発行

手術の実際

腸外科—Ⅲ.腸閉塞症(1)

著者: 西本忠治1

所属機関: 1岡大医学部第一外科

ページ範囲:P.1198 - P.1205

文献概要

 イレウスと診断されて手術されるようになつても,単に機械的イレウスというだけで開腹しなければならないこともあるが,単純性イレウスか,小児腸重積症,S状結腸捻転症,索状物による絞縊,あるいは嵌頓症などの複雑性イレウスかその閉塞部位はどこかなどを予め知ることができれば,手術の要否を決定しうるし,予後を良好にすることができる.
 イレウスのごとき緊急手術の手技選択の良否はその治療成績を左右するし,こみ入つた手技(急性炎症状癒着性イレウスの無理な癒着剥離,結腸癌によるイレウスで瀕死の状態にあるものを強引に根治手術を行なう等)を弄しようとするのは誤りで,腸管の通過障害除去が第一主義であり,最もよくなれた平易な術式を手順よく行ない,できるだけ小さな侵襲に止めるのが賢明である.術前処置は成書に詳しく述べられているが,大人の場合,輸液2000cc (ブドウ糖液リンゲル液等量混合)輸血 400 ccを目安とする.胃管カテーテルを挿入して胃内容を持続的に除去しておくことは,イレウスの種類の診断に役立つし,患者の心臓に対する腹腔からの圧迫を軽減し,強心的の意味にも重要である.また排除された胃液内容により高位のイレウスか,若しくはイレウスの発生以来どれ位の期間が経過しているかが分るものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら