文献詳細
Medical Notes
文献概要
遺伝的のnonspherocyticの溶血性貧血は,Dacie一派(Blood 9:414,1954)によると,G-6-P dehydrogenase欠損にもとづくタイプと,pyruvate-kinase欠損によるタイプとの2型に区別される.後者はde Gruchy (Blood 16:1371,1960)の展望によると世界文献に10例あるそうで,最近Bowmanの5例報告(Ann.int.Med.58:567,1963)が加えられ,計17例になる.多くは幼時に発見されるが成人後発見というのもあり,これは貧血が案外に軽度であることを示す.G-6-Pd欠乏は周知のように,X染色体にリンクして伝えられ,患児の母親は貧血がないのにG-6-Pd欠乏をもつている.p-k欠乏はValentine (Tr.Ass.Am.Physicians 74:100,1961)によると常染色体を介する劣勢遺伝らしく,ホモ接合体は典型的症状を呈し,ヘテロ接合体はp-kの軽度減少をみるのみで血液変化は殆んどない.p-k欠乏貧血者の血液所見は必ずしも明確でなく,deGruchy,ValentineらとBowmanとでは多少の相異がある.前者によれば赤血球は均等に円形,macrocyticであるが,後者ではそうでない.前者では脾剔でsiderocyteが赤血球の25%ほどにふえ,Pappenheimer封入体が出現したが,後者にはかかることがない.
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