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文献詳細

雑誌文献

臨床外科19巻1号

1964年01月発行

講座 手術の実際

胸部上中部食道癌の手術

著者: 中山恒明1 山本勝美1 矢沢知海2

所属機関: 1千葉大学医学部第二外科 2千葉大学医学部麻酔科

ページ範囲:P.94 - P.98

文献概要

緒言
 もつともしばしば遭遇する胸部上中部食道癌で今日,教室で一番多く施行している手術法を紹介する.それは手術を3期的に分割して行なう.右開胸,胸壁前食道・胃吻合術である.なぜこのような手術を施行するかというと,全世界の胸部上中部食道癌の手術成績をみると,その大部分が25%以上という高い死亡率であるからである.この手術死亡率が高い理由は,食道癌患者の多くは高齢者である上に,栄養状態悪るく,いわゆるPoorRiskの症例で,開胸・開腹,あるいは開胸・開腹頸部手術という侵襲の大きい手術に耐えなければならず,しかも諸外国で多く行なわれている胸腔内吻合術のように,一度吻合部の穿孔を起こすと現段階では救命できないからである.元来,食道と胃断端の吻合部は血液循環の障害されやすい部分で,容易に組織壊死に陥つて穿孔を起こす危険がある.したがつて吻合部を胸壁前の皮下におくことは手術を安全にするという意味で大切である.以上の理由から,教室では,胸壁前食道胃吻合術を3期的に施行し,手術成績の向上とともに遠隔成績をよくしている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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