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文献詳細

雑誌文献

臨床外科19巻10号

1964年10月発行

論説

心臓外科における輸血後肝炎の発生状況について

著者: 林久恵1 橋本明政1 岩本淳子1 斉藤洋子1 荒井康温1 川田高俊1 中島一己1 和田汪1

所属機関: 1東京女子医科大学榊原外科教室

ページ範囲:P.1309 - P.1313

文献概要

はじめに
 近時輸血後肝炎は発生頻度が高率であり,いつたん罹患後慢性化して肝硬変に移行する症例もあり,その予防,診断,治療についても種々論議されていて,社会的にも大きな問題となつている.昭和39年3月の日本輸血学会第12回総会では輸血後肝炎がシンポジウムとして取り上げられ,島田信勝教授より発表された全国統計によるとその発生率は顕性黄疸5.5%,不顕性黄疸8.4%であつた.一方外国では発生率は低くせいぜい2〜3%程度であり1)2),わが国における罹患頻度の高率なのは輸血制度によるものも関係あるかと考えられ,肝炎対策の重要性が強調されている.心臓外科は大量輸血を必要とする分野の一つである.われわれは教室における心臓手術症例のみに限り過去4年間の手術症例の輸血後肝炎発生状況を調査したがその発生頻度は過去4年間の統計で1054例中102例,9.8%に黄疸発生をみた.他の病院における一般外科領域での発生率の報告とほぼ同程度のようである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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