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血清肝炎の予防献血預血を中心にして
著者: 大林静男1
所属機関: 1京都日本バプテスト病院
ページ範囲:P.1348 - P.1349
文献購入ページに移動 最近わが国では,輸血の後に起こる肝炎が著しく多く,各方面の関心を引きつつあることは,御承知の通りである.このいわゆる血清肝炎を恐れるあまりに,必要な輸血をためらうという現象さえあるといわれている.外科医にとつて輸血は,なくてはならない大切なものでありながら,その本質については,あまり考えられていなかつたといえよう.今年の3月に札幌の北海道赤十字血液銀行所長を辞すまで前後10年間の経験を与えられた私は,大阪の朝日新聞の5月12日号に"地域社会の果たすべき課題—献血運動"という一文を書いた.それは輸血事業というものは,地域社会の果たす問題であることが十分理解されねばならないと思つたからである.そのため本年3月末の輸血学会で発表した北海道の状況を紹介した.本來医療は地域社会に欠くことのできないものであり,現在では広く公衆衛生をも含めて,地域住民の健康保持のためその活動が広げられつつある.その一環として,大戦後各国とも各地域に血液銀行を整備して,常時健康な血液を保有し,輸血に関するサービスの中心として,輸血センターと呼ばれる活動をしている.すなわち地域社会の健康人によつて支えられた血液銀行が,輸血を通して地域の病人を支えている理である.
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