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文献詳細

雑誌文献

臨床外科19巻10号

1964年10月発行

文献概要

講座 検査と診断

日常外科に必要な胃検査法—とくに外科領域における

著者: 佐分利六郎1 加藤裕一1 田林晃1

所属機関: 1同愛記念病院外科

ページ範囲:P.1364 - P.1369

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 胃疾患診断法について教科書的に順序よく書き揃えても無意味と考えて,外科医の立場から現在どんな考えで日常事に処しているかを述べて御参考に供したい.胃切除という手術が割合に安全に,かつ広く行なわれるようになつて来た結果として,胃切除後の病態生理が順次明らかとなり,いわゆる胃切除後症候群というべき愁訴が意外に少なくないことがわかつてきたように思われる.とくに慢性胃炎患者の胃切除後に40%前後に愁訴が残存し,20%以上にDumping症状のあることは広く知られ,反省されてきた.しかるに一方胃癌はますます死因の重大なものとなつてきており,来院患者の60〜70%に切除可能であるにすぎず,その40%前後が根治的切除術を受けている.このcurable resectionをうけた患者の40%に永久治癒がみられているので,結局来院患者の15%程度しか5年生存を果していない現状である.そのため早期診断の重大さが強く主張されて来たことは喜ばしいことであるが,一方あまり熟達していないX線診断で簡単に早期胃癌の疑診をおき,簡単に慢性胃炎患者に胃切除を行なつている傾向が無いとはいえない.
 外科的胃疾患に対する胃切除後Dumping症状発生率は5〜15%と考えられるが,周知のごとく胃癌患者手術後にはこの症候群の発生はきわめて少ないものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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