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海外だより
Harvardの外科(その2)
著者: 阿部忠昭1 堀原一2 諏訪邦夫3
所属機関: 1東北大葛西外科 2東大木本外科 3東大麻酔科
ページ範囲:P.1552 - P.1556
文献購入ページに移動小児外科の発祥地とも目される1)2)ボストンのChil-dren's Hospital は約一世紀前の1869年の創立,Phil-adelphia Children's Hospitalに次いでこの国で二番目に古い小児専門の綜合病院であるが,正確にはChild-ren's Hospital を中核とする大小10ほどの病院,研究所等の綜合体であって,Children's Hospital MedicalCenterと、言われ,ベット総数380,年間入院総数約1万,外来総数約10万という巨大な病める乳幼児のための殿堂である.
小児外科は米国においても比較的新しい医学の一分科であつて,今日なお一般外科から完全に独立したとは言えない状態にある.すなわち,現在のところ小児外科なる Specialty or Subspecialty Board 専門医試験制度は存在しないし,また小児外科学会と正式に名のつく学会もなく,これに相当するものは小児科学会に一部門会として見られるに過ぎないからである.しかし,最近では小児外科専任の教授をおく大学が次第に増えてきており,ボストンで生れ,その後各地にちらばつた小児外科を愛する外科医たちによって育まれてきた小児外科もようやく成長して,一人前の成人として認められつつあるというのが現況のようである.
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