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症例
超大量保存血輸血の1例
著者: 倉本進賢1 野口耕一1 高木繁幸1
所属機関: 1久留米大学医学部脇坂外科教室
ページ範囲:P.1694 - P.1698
文献購入ページに移動近年,外科領域においては,各種の大手術が比較的安全に行なわれるようになつたが,これには麻酔や化学療法の進歩とともに輸血液の普及発達が大きな貢献をなしたと考えられる.私どもが日常の外科臨床において輸血に依存するところは非常なもので,とくに手術に伴う出血を補うためには輸血が必要量だけ行なわれる現状である.そして最近の傾向としてこれらの輸血は特殊な例を除き,伝染病の排除や給血者の選択,確保の困難さや輸血手技の安全且つ簡単な点から保存血が多く用いられるようになつている.
しかしこのような出血を補う輸血がいかに効果的であつても,やはり限界があるようで,吉村等は手術中を含めて前後24時間以内に10000cc以上の輸血を必要とした35例につき報告し,その死亡率は約60%であると述べている.
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