icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床外科19巻2号

1964年02月発行

雑誌目次

グラフ

救急時に必要な蘇生器具

著者: 森岡亨 ,   岡田和夫

ページ範囲:P.149 - P.152

 近年交通災害時の救急処置の問題が注目されるようになつたが,なかでも呼吸,循環をいかにコントロールするかが大切なポイントとなってきた.呼吸管理を十分おこなうかどうかで患者の予後に重大な影響があるケースが臨床各科で増大の傾向にある.
 かかる場合,Resuscitatorの適用,その選択,正しい使用法がいかに重要であるかは言をまたない.

中国医学の旅から

著者: 若月俊一

ページ範囲:P.203 - P.207

 中華医学会長からの招待で,福田保教授を団長に,小生の他,江田仁郎(耳原病院),瀬戸泰士(中通病院)の4名が,北京で開かれた第8回中国外科学会議に出席した.
 会議は9月21日から29日まで.9月12日羽田を出発してより,広東,北京,上海の各市を巡遊し,10月12日帰国した.

巻頭

外科学会総会への希望と期待

著者: 今永一

ページ範囲:P.153 - P.154

 私は測らずも日本外科学会会長に選ばれまして誠に光栄に存ずると共にその責任の重大なるを感じています.
 御存知のように日本外科学会は本邦の学会の中でもつとも大きい活発なる会でありますことは自他共に任じているところであります.これは全く今日まで先輩諸先生が日本外科学会を日本一の立派な学会にしたいという御努力の賜でありまして、私ども日本外科学会会員はこれに対しまして深く感謝すると共に今後の発展に対して強い責任を感ずるものであります.

外科の焦点

悪性リンパ腫の諸問題

著者: 芝茂

ページ範囲:P.155 - P.160

はじめに
 悪性リンパ腫の臨床と病理については古くから多くの学者により研究が重ねられてきたが,いまなお残された問題は多い.
 本稿においては.これら諸問題の中,とくに臨床に直接関係のある問題をとり上げ、これについて文献的考察を加えるとともに,一部著者の私見を述べてみたいと思う.

論説

ACTH分泌による胃Pepsin反応と消化性潰瘍

著者: 石原恵三

ページ範囲:P.161 - P.166

 一昨年5月西独ミユンヘンで開かれた第2回国際消化器病学会のさい,カナダのMcGill大学のDr.Skorynaを座長とした実験的消化性潰瘍のシンポジウムに招かれて,私はpitressinの胃液分泌作用について報告した.そこに出た34の論文が単行本(Pathophysiology of Peptic Ulcer)で近く刊行される予定であるが,私は日本からただ一人の参加者でもあり,本誌の求めもあつて,その大要に最近のデータを加えて記述する.

僧帽弁交連切開時脳栓塞防止の胸腔内脳血行遮断法

著者: 織畑秀夫 ,   蛯名勝仁 ,   藤村光夫 ,   市川博之 ,   豊泉稔 ,   横山正義 ,   岸一夫 ,   秋元富夫 ,   梶田昭

ページ範囲:P.167 - P.177

緒言
 一般に僧帽弁狭窄症では脳栓塞を発生して死亡する場合がまれでない.これは多くが左心房内に生ずる血栓に由来するものと考えられている.
 近年.僧帽弁狭窄症に対する交連切開術が確立され、多数の手術が行なわれている.その際に危険な合併症として左心房内血栓の遊離による栓塞症が問題になるが,このうち脳栓塞が最も重大な問題である.

体外循環における線維素溶解現象—その成因と対策

著者: 砂田輝武 ,   志水浩 ,   河合進 ,   北村斉 ,   森本接夫 ,   重本弘定 ,   津田弘純 ,   大野致 ,   中矢良一

ページ範囲:P.178 - P.184

緒言
 近年心臓外科領域において体外循環が普及し,手術適応が拡大されるにつれて,体外循環施行後の出血傾向発現が心臓手術の予後に重大な影響を及ぼすものとして注目をあびてきた.一般に出血傾向は主として止血機構に関与する凝固因子障害,血小板因子障害ならびに血管因子障害による3つの原因で起り,さらに患者の全身的,局所的条件、手術侵襲などが複雑に組合さつて出血を惹起するに至ると考えられるが,線維素溶解現象(以下線溶現象と略す)も出血傾向発現の重要な一因子となりうる.
 われわれは最近開心術を施行した患者で術後時として胸腔ドレンよりの出血量が増量するのに遭遇し,線溶現象に起因する出血傾向が意外に多いことを知つた.そこで臨床例62例に対して比較的詳細な凝血学的検査を行ない,その成因と対策について検討を加え些かの知見をえたので報告する.

いわゆる腹部神経症または術後腸管癒着症の心身医学的な取り扱い

著者: 石井良治 ,   小此木啓吾 ,   岩崎徹也

ページ範囲:P.185 - P.189

まえがき
 心身医学psychosomatic medicineとは1),〈心身統一体としての患者に,心身両面から,アプローチする医療上の態度〉であり,現実的には〈従来の医療における身体的アプローチの中に心理学的な観点,あるいは,アプローチを取り入れて,臨床上および研究上の医学の再統合を計る試み〉である.この様な,心身医学の臨床を実践するには,実際は,心理的アプローチを専門とする精神科医と,一般各科の専門医との協力による,いわゆるinterdisciplinary approachをとることになる.
 この観点から,われわれは,神経科と外科の間に緊密な協力態勢を設け,腹部外科手術をめぐる心身医学的な取扱いを試みているが,本稿では,この様な取り扱い上,最も問題になるいわゆる腹部神経症,あるいは,術後腸管癒着症などといわれる症例についての心身医学的な取り扱い上の経験と考察を述べたい.

破傷風の予防と治療

著者: 志賀厳

ページ範囲:P.190 - P.196

はじめに
 第2次世界大戦後一般衛生状態の改善,ペニシリンその他の抗生物質の進歩等によつて,破傷風の発生は年々減少してきており,破傷風の治療も新しい優秀な鎮静,鎮痙剤を中心に進歩改善され,死亡率も低下してきている.これは世界的な傾向であるが,わが国も例外ではなく,今や破傷風は極めてまれな創傷感染症となりつつある.しかし疫学的に日本の破傷風患者発生率を見ると,過去13年間に破傷風患者は約半数に減少しているが,1961年度においても届出患者数は758人(破傷風は届出伝染病である).死亡572人で,ジフテリアやポリオよりも多数の人が死亡していることが知られている.散発的に発生するために目立たないだけで,全国的に見れば,その数は決して少ないとはいえないのである.また1958年から1961年の4年間の破傷風患者数は,ほぼ横ばい状態を呈してきており,従来の予防対策,即ち受傷時予防的抗毒素注射や,各種抗生物質投与のみでは,現状以上の破傷風減少は期待しがたく,ようやく破傷風発生予防の限界にきていることが推定されている(舘野).ふりかえつて破傷風の歴史を見ると,EckmanのMonograph"Tetanus"(1960)には,西歴紀元前,既にHippokratesが,受傷後1週間で発病した定型的症例を記載していることがのべられている.

随想 老外科医の随想・2

外科の専門分化ということ(2)

著者: 中田瑞穂

ページ範囲:P.200 - P.202

 話が少し基礎学の方へそれてしまつたが,さて外科学に帰つて見るに,昔の時代でも外科医のうらにすでにAは虫垂の手術がうまいとか胆石はB先生に限るとか,胃ならC教授が第一人者であるなどという一種の専門のうちの専門が自然発生的とか,上手な宣伝によるのか,とにかくあることはあつた,これに類することは,内科でも耳鼻科でも何科にでもあることである.もちろんこれは現在の外科細分化とは性格の全く異るものである.現在では,腹部外科といつても昔に比べると非常に複雑になつて来た.膵臓も肝臓も副腎も?々独立研究の対象となるし,胃疾患一つをとつて見てもBillrothやv.Ei—selsberg, Mayo, Monyhan, Pauchet等の時代とは全くちがう.昔あまり普遍しなかつた脳外科もはつきりと専門化した.胸も日常のように開かれ,そして肺切,肺剔も通常の手術になつた.さらに心臓や大血管が簡単な手術時代を越えて,心内手術にまでなり,血管に代用管が使われるようにまでなつた.食道も胸前皮膚成型の食道でなく,胸内外いずれにも胃,大,小腸が吻合されるようになった.
 この程度でもよければ,私も曾て考えたように,外科を凡そ三大別し,一般外科(腹部を含む)胸部外科,脳神経外科が中核になれば,現代の外科学は先ず先ずこなせる筈である.

講座 境界領域

Desmoplastic fibromaのレ線像と組織像

著者: 伊丹康人 ,   赤松功也 ,   井上哲郎

ページ範囲:P.208 - P.211

Desmoplastic fibroma
 本腫瘍はfibrosarcoma of boneと共にfibrouscentral tumorに属する良性腫瘍である.腹壁のdesmoid tumorにその組織像が類似した線維芽細胞由来の骨中心性腫瘍に対して1958年Jaffeが命名したものである.彼はdesmoidという組織学的な特徴を指摘すると共に"fibroma"という名称がついている"non-ossifying fibroma""ch-ondromyxoid fibroma"等から本腫瘍を区別することを企図したものである.
 したがつて,このdesmoplastic fibromaの独立性に疑義をもつものである.しかし,著者は彼のいるNew YorkのHospital for Joint Diseaseで,彼から本腫瘍の標本を数例見せられ,また自身でも経験するにいたり,まれではあるが,Jaffeのいわゆるdesmoplastic fibromaなる型の存在を肯定してよいと考えている.

外科領域

自家免疫に関連して—Ⅱ.癌患者の異常血漿蛋白

著者: 渋沢喜守雄

ページ範囲:P.212 - P.222

はしがき
 温式自家抗体は7Sクラス(正常サイズ)のγグロブリンで,泳動的にはγ1A(β,β2Aなどともいう)であり,冷式自家抗体は19Sクラスのマクログロブリンで,泳動的にはγ1M(γ1,19Sγ,β2Mともいう)であるといわれる.慢性感染症・ザルコイドージス・膠原病などでは,γ2,γ1A,γ1M3者がともに増加するので,Waldenström(1962)はpolyclonal gammopathyとよんでいる.これに反し,Waldenström紫斑病ではγ1Mのみが増加し,骨髄腫ではある患者はγ2のみ,ある患者はγ1Aのみが増加し,つまり一種の蛋白のみが増加するので,monoclonal gammopathyとよばれる.リンパ形質系のあるひとつのクローンの細胞集落は,特定の一種のγ-glを産生するというのである.そこで,ここではmonoclonal gammopathyにはふれないことになる.
 主題に関連する異常血漿蛋白には,そうしたマクログロブリンのほかに,クリオグロブリン・無γグロブリン血症・寒冷凝集素・寒冷沈降素などがある.

検査と診断

乳幼児にくる後腹膜腔腫瘍の鑑別診断

著者: 幕内精一 ,   内田法光 ,   阿部実 ,   宇野高 ,   柳田公之

ページ範囲:P.224 - P.230

 後腹膜腔に発生する腫瘤を主徴とした乳幼児にくる疾患についてX線,臨床所見を主にして鑑別診断を概記したいと思う.
 後腹膜腔とは,前方は腹膜,後方は体壁,上方は十二肋骨と横隔膜付着縁,下方は骨盤腸骨櫛によつて境界されたSpaceをいう.

手術の実際

腰麻手技,腰麻後頭痛の予防と治療

著者: 白羽弥右衛門 ,   丸川美郎 ,   森本譲 ,   藤森貢 ,   加藤時雄 ,   御荘基信

ページ範囲:P.232 - P.240

緒言
 全身麻酔法の進歩,普及した今日でもなお下腹部以下の手術には,腰髄麻酔(以下腰麻)が多くもちいられている.これは,手技が簡単で,手術に適した無痛域と同時に,筋肉の弛緩がえられ,しかも安価だからである.たとえば,本学麻酔科では最近3ヵ月間に1,243例の麻酔が行なわれたが,その14%にあたる167例が腰麻であつた.しかし,このように頻々と行なわれる腰麻には多くの合併症1,11,12,13,15,28,34,35)がある.麻酔実施直後におこる循環不全,悪心,嘔吐などの早期合併症には誰もが留意し,その対策25,28,35)も立てられているが,術後数日あるいはその後の合併症10,24)(多くは神経系障害2,20,24,37,41,34))は軽視されがちである.
 ここには,腰麻後合併症のうちもつとも多い頭痛症の原因,予防および治療法について記述する.

患者管理

Ⅱ.術前準備—(1)輸血・輸液を中心として

著者: 安冨徹

ページ範囲:P.242 - P.245

Ⅰ.はじめに
 手術が予定された患者のriskがよくない原因は種々あろうが,その主要なものに脱水,低蛋白症,貧血血がある.これらに対しては通常,輸血や輸液が行なわれるが,実際にあたつて,その量や種類の決定は容易でない.以下これらの基礎的な事項についてのべよう.

COMMENT

リハビリテーションの概念

著者: 児玉俊夫

ページ範囲:P.248 - P.249

 リハビリテーション医学会が去る昭和38年9月にわが国でも正式に発足した.初代会長は阪大水野祥太郎教授で,理事,諸委員会には整形外科,内科その他の関連各科の権威者が公平に配分せられ,医学会を挙げての強力な体制ができたことは同慶に堪えない.
 さてリハビリテーションの定義は,「身体に障害を有するものに,その残存機能を最大限に発揮させることにより,良体的,精神的,職能的,経済的の自立能力をあたえること」とされている.

早期癌とその発見について

著者: 常岡健二

ページ範囲:P.249 - P.249

 癌研究の進歩と歩みを並べて,癌啓蒙の方も一般に大いに浸透しつつある今日ではあるが,なお歯がゆい所が多い.癌を恐れる人たちを受け入れる側の態勢にはなかなか容易ならぬ問題があるといわねばなるまい.
 ところで癌啓蒙の大きな標語の1つは早期発見(受診)ということだが,いわゆる早期癌についての専門的な意見は必らずしも斉一なものでなく,たとえ早期癌の状態で発見しても手遅れではないかとの声もあるわけである.

海外だより

ローマ国際外科学会からボストンへ

著者: 織畑秀夫

ページ範囲:P.250 - P.251

 ここボストンは大部冬らしい寒さになりました.外を歩く時は帽子がないと頭が痛くなりにす.こんなこととは東京では思いもしませんでした.大部頭をひねつたすえ,中折帽を買いました.
 ケネディー大統領を計報はハーバード大学および地元のボストン市民には最も大きなショックのようでした.ある大学教授(医学部ではない)はショックのために入院していると聞きます.

トピックス

麻酔の革命?

著者: 西邑信男

ページ範囲:P.252 - P.252

 南米の全身麻酔はすでに30年前からはじまつている.南米のごとく麻酔器とか麻酔剤の十分入手しえない所で,しかも開心術をはじめ大手術がわが国以上に活発におこなわれているのには理由があつて,それは彼らが独自の特殊な方法を生み出していたからである.
 わが国では従前局麻および脊麻が広く使用されたのであるが,南米ではプロカイン静脈内点滴注射法と気管内挿符および人工呼吸法がこれにつかわれたのである.

アンケート

黄疸患者の手術前後における管理法

著者: 槇哲夫 ,   綿貫喆

ページ範囲:P.254 - P.256

 黄疸患者には,もちろん黄疸の成因によつてその程度に差異があるが,当然肝機能障害例が多く,また,しばしば貧血,出血傾向,低蛋白,電解質異常などを伴なうことがある.また,疾患の種類によつて,手術侵襲にも大小があり,それにしたがつて術後管理も複雑となる.ここに黄疸患者に対する術前後の管理の特異性があるが,今回はその大要を述べるにとどめる.

検査 新しい検査法

小児手術症例における血清コリンエステラーゼ活性値

著者: 長島金二 ,   三川宏 ,   岩井誠三

ページ範囲:P.261 - P.264

Ⅰ.はじめに
 小児,とくに新生児,幼若乳児の肝機能検査を行なうにあたり,通常成人に使用している方法では,必要な検体量をえることが必ずしも容易ではなく,また採血等の技術的困難さも加わつて,これを日常の臨床に応用することは殆んど不可能に近い現状である.そこでわれわれは主として新生児,乳児を全身麻酔下に手術する場合に必要な肝機能を知る一つの方法として,血清コリンエステラーゼ活性値を測定して,これと血清蛋白量,赤血球数,血色素量,B.S.P.試験,血清黄疽指数,血清ビリルビン量等との関係をしらべ,血清コリンエステラーゼ活性値は,B.S.P.値や血清蛋白量とよく相関する結果をえたことについては,すでに臨床外科昭和38年6月号に発表したところである.
 今回はさらに年齢別(新生児・乳児・幼児)および疾患別(開胸・開腹.表在性手術群)に成績の検討をおこなつた.

症例

異型大動脈縮窄症の二手術治験例

著者: 広瀬洋一 ,   汐崎公太

ページ範囲:P.267 - P.272

はじめに
 大動脈縮窄症は欧米では3000〜4000人に1例あるともいわれ1),必ずしも稀な疾患ではないが,本邦においては診断技術の進歩に伴い症例数が増加してはいるもののなお稀な疾患である.狭窄部が峡部以外のいわゆる異型大動脈縮窄症は欧米においてさらに稀とされているが,本邦では峡部の縮窄症よりも大きな比率を占めているようである.当教室において最近本症例,すなわち胸部下行大動脈縮窄症1例および上腹部大動脈縮窄症の1例を手術により治験し得たので報告し,成因および治療等について若干の考察を加えたいと思う.

胃瘻造設術後明らかなダンピング症状を呈した1例

著者: 古松博 ,   中山祐 ,   比企能樹

ページ範囲:P.273 - P.276

 近年医学の進歩と共に,胃切除術における死亡率は非常に低下した.反面,胃切除術が多く施行されるのに伴つて,術後,ダンピング症候群に悩まされる患者の数は決して少なくない.そして術後の回復の大きな障害となつている.胃の機能の1つは嚥下した食物を貯えることであり食物は少量ずつ幽門を通つて排出されるが,この機能が失なわれると,食物は直ちに空腸に入りダンピング症候群と呼ばれ不快な症状を起す.本症候群は,嘔気,眩暈,腹部膨満感,冷汗,心悸亢進等を主とし,本来,胃切除あるいは胃全剔後に発生するものであるがわれわれは単に胃瘻造設術を行なつた患者に本症候群の発生を見た興味ある例を経験したので若干の考察を加えてみた.

外国文献

膵炎と上皮小体機能亢進症との合併,他

ページ範囲:P.278 - P.281

 Cope一派の業績でも,膵炎と上皮小体機能亢進症との合併は単なる偶然ではないようである.Copeの文献展望によると両者合併62例が見出されるそうで,hyperparaの診断に膵炎は重要なカギとなるという.著者例51歳女.20年前胆剔して以来,便秘,間歇的ガス痛,腹部膨満を訴う.3年来3〜8回の"greasy"stoolの下痢つづく.慢膵炎として治療されたが無効で20ポンド以上の体重減少あり,甲状腺両側とも大,左に2個,右に1個の結節ふれる.心尖にII度収縮期雑雑音.血球所見正常.血清Ca 11.7〜13.9mg,P2.4〜3.9mg,TRP69%(正常80〜95),アルカリPase6.1〜6.3Bodansky,屎脂酸10.8〜11.4g/24h(正常<7).Xylose耐容試験6g/5h(正常域),血漿カロティーン35〜62μg(正常70〜300),1131-triolein0.2%(1〜3h)で正常9%に比し著しく低い.secretinテストでVol1.11cm3/kg/30min.,最高HCO311.8mEq/l,trypsin 0,lipase 4.4u/cm3,amylase 46u/cm3

--------------------

臨床検査の資料(1)—I.臨床化学(簡易検査セットー覧)

ページ範囲:P.282 - P.283

正確な臨床検査が適確な診断から適正な治療へ導く。本誌は東大中央検査室の協力を得て,十分吟味された資料を表覧連載し,日常診療に資したいと思う。

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

78巻13号(2023年12月発行)

特集 ハイボリュームセンターのオペ記事《消化管癌編》

78巻12号(2023年11月発行)

特集 胃癌に対するconversion surgery—Stage Ⅳでも治したい!

78巻11号(2023年10月発行)

増刊号 —消化器・一般外科—研修医・専攻医サバイバルブック—術者として経験すべき手技のすべて

78巻10号(2023年10月発行)

特集 肝胆膵外科 高度技能専門医をめざせ!

78巻9号(2023年9月発行)

特集 見てわかる! 下部消化管手術における最適な剝離層

78巻8号(2023年8月発行)

特集 ロボット手術新時代!—極めよう食道癌・胃癌・大腸癌手術

78巻7号(2023年7月発行)

特集 術後急変!—予知・早期発見のベストプラクティス

78巻6号(2023年6月発行)

特集 消化管手術での“困難例”対処法—こんなとき,どうする?

78巻5号(2023年5月発行)

特集 術後QOLを重視した胃癌手術と再建法

78巻4号(2023年4月発行)

総特集 腹壁ヘルニア修復術の新潮流—瘢痕ヘルニア・臍ヘルニア・白線ヘルニア

78巻3号(2023年3月発行)

特集 進化する肝臓外科—高難度腹腔鏡下手術からロボット支援下手術の導入まで

78巻2号(2023年2月発行)

特集 最新医療機器・材料を使いこなす

78巻1号(2023年1月発行)

特集 外科医が知っておくべき! 免疫チェックポイント阻害薬

icon up
あなたは医療従事者ですか?