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文献詳細

雑誌文献

臨床外科19巻2号

1964年02月発行

文献概要

論説

体外循環における線維素溶解現象—その成因と対策

著者: 砂田輝武1 志水浩1 河合進1 北村斉1 森本接夫1 重本弘定1 津田弘純1 大野致1 中矢良一1

所属機関: 1岡山大学医学部砂田外科教室

ページ範囲:P.178 - P.184

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緒言
 近年心臓外科領域において体外循環が普及し,手術適応が拡大されるにつれて,体外循環施行後の出血傾向発現が心臓手術の予後に重大な影響を及ぼすものとして注目をあびてきた.一般に出血傾向は主として止血機構に関与する凝固因子障害,血小板因子障害ならびに血管因子障害による3つの原因で起り,さらに患者の全身的,局所的条件、手術侵襲などが複雑に組合さつて出血を惹起するに至ると考えられるが,線維素溶解現象(以下線溶現象と略す)も出血傾向発現の重要な一因子となりうる.
 われわれは最近開心術を施行した患者で術後時として胸腔ドレンよりの出血量が増量するのに遭遇し,線溶現象に起因する出血傾向が意外に多いことを知つた.そこで臨床例62例に対して比較的詳細な凝血学的検査を行ない,その成因と対策について検討を加え些かの知見をえたので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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