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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科19巻3号

1964年03月発行

雑誌目次

外科の焦点

外科におけるホルモンの問題

著者: 赤須文男

ページ範囲:P.293 - P.297

はじめに
 「外科におけるホルモンの問題」はそれこそ問題の多い問題であると思う.
 内分泌腺を外科的に摘除するとか,内分泌疾患が合併しているときの手術をするとかいうことも一つの問題であるが,どうまず先に,手術侵襲という問題を考えてみたい.術後にはなかなか一定したPatternがみられない場合が多い.それは,侵襲に対する生体反応はかなり個体差があるからである.性別,年齢,健康状態,手術を要する疾病の種類などによつて一様でないのみならず,たとえば,ほぼ同年輩の女子がほぼ同様の状態を示す子宮筋腫を,同様の麻酔下で,同様の術式で,同一術者がおこなつてもその尿中17-Hydroxycorticosteroids(以下17-OHCSと略)値は,術後に同似した消長を示すとは限らない.これは個体差によるものであろう.Subclinicalなものがあるためともいえるだろう.

論説

結腸癌は胃癌と比べて何故予後がよいか

著者: 槇哲夫 ,   間島進 ,   吉田弘一 ,   新井嶺次郎

ページ範囲:P.299 - P.307

まえがき
 同じ消化管癌でも,胃癌と結腸癌ではその手術の遠隔成績は随分とちがう.たとえば諸家の結腸癌術後5年生存率をみるとRankin1)51.3%,串崎2)43.0%,Gilchrist3)68.79%,Spear4)41.8%,山田5)78.0%,Bacon6)65.8%でいずれも胃癌に比し,高い生存率を示している.
 教室における症例でも,後述のごとく術後5年生存率をみると,結腸癌57.4%に対し,胃癌(通常切除)では30.8%と低率である.これは解剖学的関係から胃癌ではリンパ節転移をきたし易いことが大きな理由をなしているものと思われる.すなわち,胃癌においては,たとえ主腫瘍が小さくとも胃壁リンパ節,さらに後腹膜リンパ節にすでに転移している例は決して珍しくない.これに対し結腸癌例では腫瘍がかなり大きくなつているにも拘わらず,リンパ節転移を認めない場合もあり,結腸動脈,上・下腸間膜動脈に沿う多数のリンパ節転移を認める例は必ずしも多くない.

乳癌の内分泌学的療法に関するわれわれの考え方

著者: 吉永直胤 ,   内尾太郎 ,   岡部文人 ,   黒木憲夫 ,   橋爪毅 ,   原口亨 ,   桑原元雄

ページ範囲:P.309 - P.314

はじめに
 乳癌のホルモン療法に関する報告は,桑原,渋沢,藤森,永井,卜部,増田,石川をはじめとして,本邦においても近時少なくない.
 ましてBeatson, Huggins, Luft等にはじまる外国文献は数多く,1957年のGlasgow大学におけるCurrie5)の主催せる「乳癌のホルモン領域に関する討議会」を一つの頂点として,この方面の知見の開発は年々進められており,Dao (1960)6)の副腎剔除の948例,Pearsons (1959)16)の505例の集計分析など,多数の症例についての考察も進められている.

先天性総胆管拡張症—特に本邦例の統計的考察

著者: 穴沢雄作 ,   長浜遠 ,   平井慶徳 ,   津田英彦

ページ範囲:P.315 - P.327

はじめに
 先天性総胆管拡張症は,1723年はじめてVaterにより報告され,ついで1817年Toddも記載したが,両症例とも硬化性膵臓炎を合併していた.確実な第1例は1852年Douglasの報告例と思われる.その後1909年にはEbnerは11症例を集め,詳細に報告し,以来報告例は漸次増加し.Alonso-Lejは1959年までに419例を文献上より集計し,その92例について,検討を加えている.なおこれには,130例の本邦例が含まれている.本邦においては,1905年佐久間の報告が最初で,1935年に今井が内外文献より,155例を集計したさいには,このうち27例が本邦例であつた.その後,本邦での報告も漸次増加し,1960年山口の集計によれば169例の多きを数えている.本症は欧米においてはきわめてまれな疾患であるが,本邦ではさほどまれではなく,本教室でも最近4年間に4例,九大第一外科では1959〜1961年間に8例の経験がある.諸家の集計のうちAlonso-Lejの31%,Shallowの24%,今井の18%は本邦例であり,本疾患が日本に多いことは明らかである.最近私どもは興味ある病像を示した幼児の本症を経験したのでこれを報告し,さらに最近15年間年(1948〜1962年)の本邦報告から187例という最多数の集計を行なうことができたので種々考察を加え,とくに小児例については,従来の知見と多少異なる結果をえたので報告する.

レ線学的に見た術後腸管麻痺の回復状況ならびにこれに及ぼす2〜3の薬剤および処置の影響

著者: 本田盛宏 ,   武重祐彦 ,   石川文夫 ,   富山文雄

ページ範囲:P.329 - P.337

はじめに
 開腹術後の腸管麻痺は,腸管の運動麻痺,腸管の膨張,ガス痛などの症状を呈するものであるが,その本態については1)腸管自身の損傷,Auerbach神経叢の麻痺2)腸管支配神経の反射による運動抑制3)副腎ホルモンの関与等があげられている.
 われわれは,術後腸管麻痺を早く回復させる方法を見いだすため,まず無処置の場合の回復状況を知り,ついでこれを対照として薬剤,処置の及ぼす影響を比較検討した.

随想 老外科医の随想・3

新学会・新研究会の簇立

著者: 中田瑞穂

ページ範囲:P.338 - P.341

 日本医学会に公認された分科会の種別や数のことはさておき,その各の中に,あるいはそれらのほかに,いろいろの新らしい医学会や研究会が,戦後急速に増加の一途をたどりつつある.そして,この数年間この傾向は弥々強まつてきた.外科学関係だけでも,さまに述べた通り一般の旧来の外科学会のほかに,脳神経外科学会や胸部外科学会,災害医学会,手の外科学会,形成外科学会等々が分れてきた.
 外科と密接な関係にある輸血,輸液の学会も麻酔学会も盛況を呈している.今また乳幼児の外科学会が成立するであろう.癌学会と並行しては肺癌研究会があり胃癌研究会も発足した.そして最近癌治療学会も組織され,これらには大きな実力をもつ外科学関係者が重要な干与をしている.

グラフ

温泉病院のリハビリティション—その1 厚生年金湯河原整形外科病院

著者: 浜田昇次 ,   伊藤久次

ページ範囲:P.342 - P.348

 整形外科領域では,古くから後療法の重要さが強調されていたが,これも初めは手術やギプス除去後のマツサージや電気療法などの狭義の医学的後療法であつた.1906年ドイツで肢体不自由児の国内調査が行なわれ,多くの施設が建てられて社会政策へ発展し,1920年米国において後療法が職業補導と結びつく端緒が作られ,1943年第2次大戦中期より米国において,理学的療法・職能療法などの医学的リハビリティションから,職業相談・職業補導へと続く一連の体系が作られリハビリティションが急速に発達した.
 日本で初めてリハビリティションなる語が用いられたのは1951年(昭和26年)頃である.厚生年金湯河原整形外科病院が創設されたのは,その5年前の1946年(昭和21年)であるから,設立の趣旨は米国流のリハビリティションの考えかでなく,ドイツ流のNa-chbehandlung, Bad-Kur, Krankengymnastikといつた考え方が基調となり,それに厚生年金被保険片の福祉施設という社会性を持つていた.その後米国流の新しい考え方が輸入されるにつれて,単なる温泉浴が,運動浴へ進み,単なるマッサージに機能回復訓練が加わり,さらに日常生活活動の訓練や職能訓練に発展した.

講座 境界領域

Chondromyxoid fibromaのレ線像と組織像

著者: 伊丹康人 ,   赤松功也 ,   井上仁

ページ範囲:P.350 - P.354

Chondromyxoid fibromaとは
 本腫瘍は線維細胞基質の中に,これらの細胞から分化した軟骨性,ならびに粘液性組織を混在する良性腫瘍である.
 一般に良好な臨床経過と悪性化を疑わしめるような細胞学的所見との間に理屈のあわない不調和がある.したがつて,かつては軟骨肉腫や粘液肉腫と混同されていたこともある.1943年Jaffe,Lichtensteinは軟骨肉腫症例中から3例の本腫瘍を分類し,さらに1948年5例を加えて"Chon-dromyxoid fibroma"という名称を与えた.この腫瘍の特徴は奇異な核を有する小さな円形の腫瘍細胞よりなつており,細胞間物質はmyxoidの状を呈し,全体にあるいは部分的に膠原化して,成熟した結合織像を示すと共に(第4図)一部においては腫瘍細胞が軟骨細胞の前兆を示すような,すなわちChondroidの形をとつてくることである(第5図).

外科領域

自家免疫に関連して—Ⅲ.栓球減少を伴う血管腫

著者: 渋沢喜守雄

ページ範囲:P.356 - P.367

はしがき
 癌に合併する溶血性貧血には,栓球減少症あるいは汎球減少症をも発現する場合のあることを先にのべたが,ここでは,血管腫に著しい栓球減少・出血傾向の続発する場合をうかがいたい.それはKasabach&Merritt(1940))によつてはじめて記載され,Kasabach-Merritt症候群とも称しうべき,ひとつのclinical entityと考えうるものである.生後2個月男児,左上腿をひろく占居するcapillary hemangiomaあり,栓球16,000,広く紫斑病を呈した.血管腫に対しレ線照射,ついでラジウム針挿入,6週後に血管腫縮小し,さらに3個月後に栓球324,000に回復し,出血傾向去り,生後2年半"good health"にあるというのであつた.血管腫はもつともポピユラーな小児外科疾患であるから,こうした栓球減少症の合併(第1表)はきわめてまれということになり,したがつて特殊な成立因子(群)が関与して発生するのであろうかとおもわれる.
 その因子のひとつに,栓球抗体をあげうる.

検査と診断

胸痛・背痛の診断

著者: 依藤進

ページ範囲:P.368 - P.372

胸痛,背痛
 痛みは一般に動物神経を通じて意識されるか,植物神経を通じて意識されるかのいずれかである.前者は後者よりも進化しているため,痛みの場所を明確に示すが,後者は知覚神経として十分分化していないため,病変の位置を明確に指示することができず,したがつて場所に関しては漠然としているが,そのかわり心理的な要素や記憶によつていろいろに変容され,不安感を伴うことが多い.また後者の場合はしばしば関連痛ないしヘッド帯(Head's zone)が現われる.このことが,胸痛,背痛の原因となつている病巣が植物神経領域(心臓,大動脈,肺血管)にあるか,動物神経領域(皮膚骨,筋肉,肋膜等)にあるかを大ざつぱに識別する示標といえる.

手術の実際

直腸癌に対する根治手術法—仙骨腹腔合併直腸切断術

著者: 卜部美代志

ページ範囲:P.374 - P.381

 本邦においては近来,直腸癌根治手術法として腹腔会陰術式が慣用されてきた.この術式による遠隔成績はさして悪くないが,それでも約半数に近い症例は5年以内に再発を起こしている.その再発の場として遠隔転移によるよりも局所再発が断然多い.また私共が臨床上遭遇する直腸癌はそのリンパ路走向が複雑とされる低位のものが多い.直腸壁におけるリンパ路は壁に垂直に走り癌が容易に周囲組織に進展する特徴を持つ.これらのことに鑑みて直腸癌所属リンパ系ならびに周囲組織をより徹底的に廓清する根治手術を施すことが,直腸癌手術成績を向上させる途であることを知つたのである.
 ところが,従来私共が慣用してきた腹腔会陰術式の場合,直腸下部側方の廓清にしばしば困離を感ずる.この側方連絡の主なるものは肛門挙筋およびこれに沿う下直腸動脈である.腹腔側からこれらの沿線のリンパ節ならびに周囲組織を直接目でみて廓清し,直腸癌のen bloc剔除を行なうことは必ずしも容易でなく,この部分の操作を手さぐりでな行つているのが実状である.

患者管理

Ⅲ.術前準備(2)—その他の重要合併症を中心にして

著者: 安冨徹

ページ範囲:P.382 - P.387

Ⅰ.高血圧症
 最近,老人の手術症例の増加に伴い,しばしば遭遇する問題である.

アンケート

手指の動脈血行不全にはどういう手術を選ぶか

著者: 石川浩一 ,   神谷喜作 ,   和田達雄

ページ範囲:P.388 - P.390

 手指に動脈血行不全をおこす疾患には,外傷・塞栓・血栓による急性動脈閉塞,脈無し病・Buerger病・動脈硬化症などによる慢性動脈閉塞,Raynaud病病振動工具によるRaynaud症候群などの血管収縮性疾患,あるいは前斜角筋による一時的の血行障害,などがあり,これら血行不全をおこす原因のいかんによつて対策が異なるわけである.
 急性動脈閉塞に対しては,可能なかぎり早朗に病変部を露出して,塞栓や血栓を除去するよう方針を立てている.ただ,塞栓の場合には塞栓の部位を発見することも,これを除去することも容易であるが,原疾患となつている心疾患の管理に注意が必要であり,またのちに新しい塞栓が再発する可能性が多いことを知らねばならない.血栓症の場合には,閉鎖範囲が広く,動脈壁に変化をおこしていることが多いので,動脈切開を諸所におくとか,retrogademilkingを行なうとか,切開部にた伏在静脈のpatchgraftをおくとか,いう点に注意し,術後の動脈撮影などで動脈管再開を確かめることが必要となる.

COMMENT

骨折の手術

著者: 岩原寅猪

ページ範囲:P.391 - P.392

 骨折を切れば治るような気で治療しないことである.切ることは二の次ぎである.手術の前によき診断が要る.すべての手術にそうであるが,骨折の手術にはゆきとどいた機能外科的診断を欠くことができない.切れるから切るでは困る.切ることは誰れでもいつでもできる.切るべきものは決つており,切れる人は限られている.へたに手を出さないことである.なま兵法はけがのもとである.
 手術するからにはしつかり腹をすえてかかることであり,機能の復元に責任を持つてかかることである.そう簡単に手は出ない筈である.

交換講義の生い立ちとその意義

著者: 新井達太

ページ範囲:P.392 - P.393

 と,ある会合の席上で,各大学の教授に,もち廻りで講義していただく,いわゆる交換講義をしていただいたら,学生はもちろん,医局員も非常によい勉強になるのではないかということを提案したところ,それは新しい考え方だから主任教授と相談して返事をするとのことであつた.つぎの会合の折,慶応,慈恵,東京医大,日大,東邦医大と東女医大の賛同を得て,発足したのがちようど二年前である.この交換講義の構想は榊原教授がかねて私に話して下さつたことである.
 そのときの決定としては,1,2回で中止せず長く持続するために,無理をせず1年に2回とする.あらかじめ2校を選び,その2校の同じ月日を決定する.運賃はお互のことだから各自で負担し,接待はお茶だけにする.講演演題は講演して下さる教授に決定していただき,相手校に前もつて知らせるとの申し合せを行なつた.

Medical Notes

肺癌の低ナトリウム血症,他

ページ範囲:P.394 - P.395

 肺瘤患行で著しい低Na血症を呈したという例はWinkler (J.Clin.Invest.17:1, 1938)にはじまるが,最近のThorn (Am.J.Med.35:257, 1963)までに9例ほど報告されている.Winklerから19年おくれて本症候群に注目したSchwartz(Am.J.Med.23:529,1957)が,本症の低Na血症が下垂体の抗利尿ホルモン(ADH)の"inappropriate"な分泌にもとづくであろうことを提唱している.Schwartzの先述の論文およびNew Engl.J.Med.262:743,1960には,症状と検査所見とがくわしく報ぜられている.9例すべて肺癌に限られ,水分摂取の多い時には水分貯留が異常につよく,したがつて血液は稀釈し,血清滲透圧低下し,Na濃度が低くなる.このように血清が低張になっても,なおかつ,高張尿(わずかに低張尿のこともある)を排泄し,腎のNa貯留能がない.Naがこのように腎から失われるが,水分は失われないから,脱水・循環量減少・低血圧になることがかい.こうしてNa濃度が115mEq/l位になるまで何らの低Na血症状を呈しない.それ以下にNaが低下すると水中毒様症状になる.

症例

先天性新生児腸閉塞症の1例

著者: 石田堅一 ,   新井松雄 ,   津村整 ,   服部光男

ページ範囲:P.399 - P.402

はじめに
 先天性新生児腸閉塞症は,1911年にFockensが手術に成功した例を発表してから今日まで,欧米本邦の文献に約200例を数える.先天性腸閉塞症で閉塞中枢端および末梢側中枢側端の完全閉塞を呈するものは本邦では患者が生存した報告は過去5年間にはない.
 また外国でもその症例の約半数が手術後死亡したと報告されている,これは先天性腸閉寒症が未熟児に多くみられ,またその他の先天性奇形をも合併する(約6%を占める—Gross)などを考えねばならない.その他術前,術中,および術後の患者の管理および治療方針についても再考の余地があると思われる.

多発性穿通性空腸潰瘍を伴つた胃空腸横行結腸瘻の1治験例

著者: 中村浩一 ,   深田弘治 ,   岡野繁 ,   吉沢良平

ページ範囲:P.404 - P.407

はじめに
 術後消化性空腸潰瘍は胃十二指腸潰瘍手術後に発生する重要な合併症の1つであるが,それが横行結腸に穿通した場合これを胃空腸横行結腸瘻と呼び,胃切除後には極めて稀なものとされている.われわれは最近胃切除後空腸に多発した消化性潰瘍のうち1ヵ所が横行結腸に穿通して,胃空腸横行結腸瘻を形成した症例に遭遇し,手術的に一応治癒せしめうる機会をえたので報告する.

外国文献

巨大Y染色体をもつ睾丸性女性化,他

ページ範囲:P.410 - P.413

 両親パキスタン人の第5子が4.5カ月で両側鼠径ヘルニアで来院.一見他に奇形・異状なき良き発育,外性器は女性状,両大陰唇やや膨隆(右>左).ために陰嚢様を呈す.膨隆部に碗豆大の睾丸様のものを触れる.鼠径管から中へ押しこむことができる.膣口不明瞭.陰核やや大.外尿道口は陰核下にあり.膣は処女膜を経て深さ約1cm,子宮は検査しえず.17-KS 0.3〜0.5mg/24h,腎盂造影正常.口腔粘膜の細胞に小さいBarr小体を疑わしめる顆粒1.5%の頻度.睾丸様のものを生検法で見るに,実質発育は年齢相応.間質増殖,Leydig細胞に機能像なし.Sertoli細胞は前段階の状態に留まる,白血球培養で染色体46個,性染色体はXYだが,Xは正常で,Yが異常に大きく,akrozentrischで,大体Nr18と19との中間位.その父(43歳)外見正常で,やはりXYをもち,そのYが同じように大である.これがYであることはSatelliteを付していないから,まちがいない.このような大型Y染色体はBender (Lancet 2:463,1961)が正常男子で,van Wijck (Lancet 2:218,1962)が無精子症で3例,Bishop (Lancet 2:18,1962)がモンゴリズムで1例,それぞれ見つけている.睾丸性女性化で大型Yというのは本報が最初であろう.

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臨床検査の資料(2)—Ⅱ.生化学

ページ範囲:P.414 - P.415

正確な臨床検査が適確な診断から適正な治療へ導く。本誌は東大中央検査室の協力を得て,十分吟味された資料を表覧連載し,日常診療に資したいと思う。

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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