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論説
結腸癌は胃癌と比べて何故予後がよいか
著者: 槇哲夫1 間島進1 吉田弘一1 新井嶺次郎1
所属機関: 1東北大学医学部槇外科教室
ページ範囲:P.299 - P.307
文献購入ページに移動同じ消化管癌でも,胃癌と結腸癌ではその手術の遠隔成績は随分とちがう.たとえば諸家の結腸癌術後5年生存率をみるとRankin1)51.3%,串崎2)43.0%,Gilchrist3)68.79%,Spear4)41.8%,山田5)78.0%,Bacon6)65.8%でいずれも胃癌に比し,高い生存率を示している.
教室における症例でも,後述のごとく術後5年生存率をみると,結腸癌57.4%に対し,胃癌(通常切除)では30.8%と低率である.これは解剖学的関係から胃癌ではリンパ節転移をきたし易いことが大きな理由をなしているものと思われる.すなわち,胃癌においては,たとえ主腫瘍が小さくとも胃壁リンパ節,さらに後腹膜リンパ節にすでに転移している例は決して珍しくない.これに対し結腸癌例では腫瘍がかなり大きくなつているにも拘わらず,リンパ節転移を認めない場合もあり,結腸動脈,上・下腸間膜動脈に沿う多数のリンパ節転移を認める例は必ずしも多くない.
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