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論説
先天性総胆管拡張症—特に本邦例の統計的考察
著者: 穴沢雄作1 長浜遠1 平井慶徳1 津田英彦1
所属機関: 1順天堂大学福田外科教室
ページ範囲:P.315 - P.327
文献購入ページに移動先天性総胆管拡張症は,1723年はじめてVaterにより報告され,ついで1817年Toddも記載したが,両症例とも硬化性膵臓炎を合併していた.確実な第1例は1852年Douglasの報告例と思われる.その後1909年にはEbnerは11症例を集め,詳細に報告し,以来報告例は漸次増加し.Alonso-Lejは1959年までに419例を文献上より集計し,その92例について,検討を加えている.なおこれには,130例の本邦例が含まれている.本邦においては,1905年佐久間の報告が最初で,1935年に今井が内外文献より,155例を集計したさいには,このうち27例が本邦例であつた.その後,本邦での報告も漸次増加し,1960年山口の集計によれば169例の多きを数えている.本症は欧米においてはきわめてまれな疾患であるが,本邦ではさほどまれではなく,本教室でも最近4年間に4例,九大第一外科では1959〜1961年間に8例の経験がある.諸家の集計のうちAlonso-Lejの31%,Shallowの24%,今井の18%は本邦例であり,本疾患が日本に多いことは明らかである.最近私どもは興味ある病像を示した幼児の本症を経験したのでこれを報告し,さらに最近15年間年(1948〜1962年)の本邦報告から187例という最多数の集計を行なうことができたので種々考察を加え,とくに小児例については,従来の知見と多少異なる結果をえたので報告する.
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