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講座 外科領域
自家免疫に関連して—Ⅲ.栓球減少を伴う血管腫
著者: 渋沢喜守雄
所属機関:
ページ範囲:P.356 - P.367
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癌に合併する溶血性貧血には,栓球減少症あるいは汎球減少症をも発現する場合のあることを先にのべたが,ここでは,血管腫に著しい栓球減少・出血傾向の続発する場合をうかがいたい.それはKasabach&Merritt(1940))によつてはじめて記載され,Kasabach-Merritt症候群とも称しうべき,ひとつのclinical entityと考えうるものである.生後2個月男児,左上腿をひろく占居するcapillary hemangiomaあり,栓球16,000,広く紫斑病を呈した.血管腫に対しレ線照射,ついでラジウム針挿入,6週後に血管腫縮小し,さらに3個月後に栓球324,000に回復し,出血傾向去り,生後2年半"good health"にあるというのであつた.血管腫はもつともポピユラーな小児外科疾患であるから,こうした栓球減少症の合併(第1表)はきわめてまれということになり,したがつて特殊な成立因子(群)が関与して発生するのであろうかとおもわれる.
その因子のひとつに,栓球抗体をあげうる.
癌に合併する溶血性貧血には,栓球減少症あるいは汎球減少症をも発現する場合のあることを先にのべたが,ここでは,血管腫に著しい栓球減少・出血傾向の続発する場合をうかがいたい.それはKasabach&Merritt(1940))によつてはじめて記載され,Kasabach-Merritt症候群とも称しうべき,ひとつのclinical entityと考えうるものである.生後2個月男児,左上腿をひろく占居するcapillary hemangiomaあり,栓球16,000,広く紫斑病を呈した.血管腫に対しレ線照射,ついでラジウム針挿入,6週後に血管腫縮小し,さらに3個月後に栓球324,000に回復し,出血傾向去り,生後2年半"good health"にあるというのであつた.血管腫はもつともポピユラーな小児外科疾患であるから,こうした栓球減少症の合併(第1表)はきわめてまれということになり,したがつて特殊な成立因子(群)が関与して発生するのであろうかとおもわれる.
その因子のひとつに,栓球抗体をあげうる.
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