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講座 手術の実際
直腸癌に対する根治手術法—仙骨腹腔合併直腸切断術
著者: 卜部美代志1
所属機関: 1金沢大学医学部第一外科教室
ページ範囲:P.374 - P.381
文献購入ページに移動 本邦においては近来,直腸癌根治手術法として腹腔会陰術式が慣用されてきた.この術式による遠隔成績はさして悪くないが,それでも約半数に近い症例は5年以内に再発を起こしている.その再発の場として遠隔転移によるよりも局所再発が断然多い.また私共が臨床上遭遇する直腸癌はそのリンパ路走向が複雑とされる低位のものが多い.直腸壁におけるリンパ路は壁に垂直に走り癌が容易に周囲組織に進展する特徴を持つ.これらのことに鑑みて直腸癌所属リンパ系ならびに周囲組織をより徹底的に廓清する根治手術を施すことが,直腸癌手術成績を向上させる途であることを知つたのである.
ところが,従来私共が慣用してきた腹腔会陰術式の場合,直腸下部側方の廓清にしばしば困離を感ずる.この側方連絡の主なるものは肛門挙筋およびこれに沿う下直腸動脈である.腹腔側からこれらの沿線のリンパ節ならびに周囲組織を直接目でみて廓清し,直腸癌のen bloc剔除を行なうことは必ずしも容易でなく,この部分の操作を手さぐりでな行つているのが実状である.
ところが,従来私共が慣用してきた腹腔会陰術式の場合,直腸下部側方の廓清にしばしば困離を感ずる.この側方連絡の主なるものは肛門挙筋およびこれに沿う下直腸動脈である.腹腔側からこれらの沿線のリンパ節ならびに周囲組織を直接目でみて廓清し,直腸癌のen bloc剔除を行なうことは必ずしも容易でなく,この部分の操作を手さぐりでな行つているのが実状である.
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