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文献詳細

雑誌文献

臨床外科19巻4号

1964年04月発行

論説 胃切除

胃動脈系からみた広範囲胃切除の危険性について

著者: 天野純治1

所属機関: 1日本医科大学斉藤外科

ページ範囲:P.447 - P.455

文献概要

はじめに
 豊富な血管網をみるとき,今更胃切除後の残胃における血行障害による合併症を問題としていないのも当然であろう.実際残胃の乏血性壊死は非常にまれなものである.しかしその発生するときは重篤な結果となるのは想像に難くない.
 残胃の乏血性壊死例については,Rutter7)(1953)が報告し,過去20年間の文献中には全く例がないと述べている.その後Spencer4)(1956)が1例を報告し,その後5人の外科医から6例を知つたといつている.その後,Stuart and Jordan (1957),Fell et al.8)(1958)はそれぞれ2例を報告している.Jackson6)(1959)は13例を集めそのうちわずかに3例のみ生存しているにすぎないという.ところが,本邦では,加藤14)(1956)は1死亡例を報告している.もとより合併症としてはまれではあるし,死亡率も高いので,他の病名のもとに見過されている場合も少なくないかも知れない.土屋15)(1953)は胃の主要な血管の全部を結紮した後に,手術を中止したが再開腹するに,胃の色調その他全く正常に回復していたと報告している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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