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外科の焦点
電子冷凍の医学的応用—主として電子熱交換器
著者: 山崎善弥1 渥美和彦1 矢島睦夫1 藤森義蔵1 青木昌治2 上村欣一3 大沢安正3
所属機関: 1東大木本外科 2東大工学部 3小松電子工業
ページ範囲:P.579 - P.586
文献購入ページに移動低温が医学に用いられたのは古くより,寒冷麻酔,高熱時の氷枕,炎症部の冷湿布、脳出血時の頭部冷却,胃出血時の上腹部冷却,最近にいたり新陳代謝を下げ外科侵襲を少なくしようとする低体温麻酔,心臓,脳外科手術のための低体温,食道静脈瘤や胃出血時に,食道や胃にBalloonを挿入して,冷却液体をRalloon内に灌流して出血臓器を内部から冷却する止血操作,止血目的のみならず胃潰瘍の治療に使用するWangensteenら1)の生理学的胃切除と称する胃凍結,頭部外傷,脳栓塞,肝性昏睡,重症感染症2)などにおいても低体温度,治療の一助として好結果がえられている.
このように低温が医学に用いられるのは数限りないのであるが,それに用いられる低温化操作はもつぱら氷,冷水の使用であり,血液冷却による低体温下手術のさいにも,氷水,温水が使用され操作が面倒で温度制御も容易ではない.ときに使用されるCompressor TypeのRefrigeratorと別個にHeaterを備えたTherm O-Riteと称する灌流液体の冷却加温装置もかならずしも満足すべき性能を示さず,特に冷却加温のきりかえは15lに及ぶ灌流液体が,かなりの熱容量があり,順調に加温過程に移行するのに約20分間を要するという.したがつて急ぐ場合あらかじめ温めた灌流液体と,冷えた灌流液体を入れ換えているのが現況である.
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