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文献詳細

雑誌文献

臨床外科19巻5号

1964年05月発行

文献概要

特集 癌の治療成績の向上

胃癌

著者: 中山恒明1 鍋谷欣市1 中野喜久男1 大久保恵司1

所属機関: 1千葉大学中山外科

ページ範囲:P.611 - P.617

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はじめに
 わが国における胃癌の死亡率は瀬木1)の統計によれば,男性では54.4%,女性では32.6%といずれも他の癌に比してきわめて高率である.これは欧米諸国の胃癌死亡率に比してもはなはだ高率であり,わが国の癌治療対策上,胃癌の治療成績向上はもつとも重要な課題である.
 事実,われわれの教室における1946年より1957年までに取扱つた胃癌患者の統計をみると(第1図),外来総数は全体で3585例であつて,その約1/3はすでに明らかな手遅れの患者である.そして入院手術を施行した患者でも,大部分は進行癌で一応切除術を行ないえた患者は全体の半数以下になつてしまう.手術そのものによる死亡率は現在殆ど0%に近いのであるが,5年以上遠隔生存者はわずかに全体の7.1%と減少する.この成績は内外の報告をみても決して低いものではなく,むしろ優れた成績であるが,教室における胃癌全体についてみたときの実状で,依然として進行癌の多いことが判る.したがつて胃癌の治療成績の向上をはかるには,さらに早期発見の途を開拓すると共に,多少進行した癌に対しても根治率を高めるような努力が必要である.以下,外科的見地からみた胃癌治療成績の現況と,これに対する教室の治療法の改善工夫を述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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