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特集 癌の治療成績の向上
直腸癌
著者: 卜部美代志1 山本恵一1 荒川竜夫1 中塚勝正1
所属機関: 1金沢大学医学部第1外科教室
ページ範囲:P.618 - P.628
文献購入ページに移動最近(1956年)日本における癌死亡の統計をみると,直腸癌については,男子では悪性腫瘍による死亡全体の3.3%,女子では3.4%を占め,英米白人の6.6〜4.2%をやや下廻る結果になつている.直腸以外の結腸癌の占める率も日本人は白人の1/4以下である.これは同じ消化器系の癌でありながら,胃癌においては同年次の統計によつて,日本人男子では54.2%,女子では39.4%を示し,英米白人の16.6〜7.0%を数倍凌駕し,食道癌もまた5.2%と約2倍の率を示しているのとまことに対蹠的である(第1図).この結果は,消化器系癌の発生部位と,食餌,習慣などとがかなり密接な関連をもつことを示唆するものである.
しかし近来悪性腫瘍の急増に伴い,また食餌,習慣などが革まるにつれて,日本においても直腸癌患者の数は年を追うて増加を示しており,その早期診断ならびに治療の対策の向上が期待されている.直腸癌は他の臓器癌と異なる2〜3の特徴を具えている.従つて直腸癌の治療成績を向上するためには,これらの臓器特異性に着目して処理することが必要である.
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