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文献詳細

雑誌文献

臨床外科19巻5号

1964年05月発行

文献概要

講座 外科領域

小児外科における水分電解質の諸問題(その2)

著者: 石田正統1 沢口重徳1 大部芳朗2

所属機関: 1東大医学部木本外科 2東大医学部小児科

ページ範囲:P.646 - P.652

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Ⅳ.Na代謝調節
 体液の滲透圧を生理的範囲に維持する機構については前稿で述べたが,Naは細胞外液の滲透圧ひいてはその量を規定するもつとも重要な因子である.
 第4図28)はNa代謝の自働制禦的調節機構を模型的に示したものである.今このNa代謝調節系においてなんらかの原因により細胞外液よりNaが失われたと仮定しよう.細胞外水分が比較的保たれている限り細胞外液のNa濃度ひいては滲透圧の低下が起こる.視床下部には滲透圧感受装置Osmoreceptorがあつて,この滲透圧低下に反応し,下垂体後葉からの抗利尿ホルモン(ADH)の動員を抑制するため,腎における水分再吸収が減じ,その結果細胞外水分が失われる.細胞外脱水は循環血液量の減少を来し,またこの循環血液量の減少は頸動脈洞にある圧あるいは容積感受器に感知され,直接神経伝導路を介し,また間接には副腎皮質を介して腎に働きNaを保持せしめる一方,食塩に対する内的要求を起こさせる.かくして体Na量が増加すると,前稿で述べた水分調節機構が発動して水分を体内に貯留させる.その結果細胞外液,ひいては循環血液量が増加すれば,Na保持の刺激は消失し,体液は元の平衡状態を回復する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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