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文献詳細

雑誌文献

臨床外科19巻6号

1964年06月発行

文献概要

外科の焦点

腎臓の移植

著者: 井上彦八郎1

所属機関: 1大阪大学医学部泌尿器科教室

ページ範囲:P.725 - P.731

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はじめに
 腎臓を移植するという試みには,腎機能障害者の症状を改善し,さらにその生命を救うという目的と,尿管上部の病変の際に,その形成手術が容易に行なうことが出来るという目的とがあるわけである.しかしこれ以外に,この腎移植にはきわめて重要な意味が含まれている.すなわち臓器移植の臨床という面から見ると,腎移植は他の臓器の移植に比べて経験例の報告が圧倒的に多く,少数例ではあるがその成功例もみられている.さらにこの腎移植の成功は,とりもなおさず他臓器の移植に対しての刺激ともなるわけで,この点腎移植は臓器移植を成功に導く1つの鍵を握つているということができる.
 さて今日行なわれているような腎移植は,1936年にVoronoyがはじめて施行して以来,現在まで約200例に達しているといわれている.ここに私はこの30年にわたる腎移植の歩みというものについて順を追つて説明しながら,その現状について紹介してゆきたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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