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特集 外傷の救急処置
頭部外傷の救急処置—自験例を中心として
著者: 工藤達之1 石森彰次1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部外科学教室
ページ範囲:P.733 - P.738
文献購入ページに移動はじめに
頭部外傷に関する研究,報告は古くから多数1)3)8)20)行なわれて,とくにその診断と治療に関しては最近めざましい進歩をとげつつある,これには多数の外科医,および脳外科医が永年にわたつて,幾多の経験と研究を重ねた結果えられたもので,とくに頭部外傷時に起こる脳および頭蓋の病変に関する基礎的研究から,多くのことが知られるようになり,日常われわれが遭遇する種々の程度の外傷の臨床的な面への応用が行なわれるようになつた.以下頭部外傷の救急処置およびそれに必要な診断的事項について,われわれの自験例を中心として述べてみたい.
頭部外傷はその受傷機転,受傷部位,受傷状況,年齢などにより千差万別の臨床症状を呈し,しかも受傷当初の処置が適切であつたか否かによつてその経過にいちじるしい差異をきたす.最悪の場合には致命的な状態に陥ることも少なくない.受傷程度によりきわめて軽度でいわゆる打撲の程度のものから,完全に意識を消失した昏睡状態,さらに救急処置をほどこすいとまもなく死亡する重症のものまで種々の段階があり,これに関しては種々の分類1)8)が行なわれてきた.われわれは従来から臨床的な面から重症,軽症の2つにわける簡単な分類法をとつているが,問題はしばしば受傷の程度をいかにして判定するかにかかる.
頭部外傷に関する研究,報告は古くから多数1)3)8)20)行なわれて,とくにその診断と治療に関しては最近めざましい進歩をとげつつある,これには多数の外科医,および脳外科医が永年にわたつて,幾多の経験と研究を重ねた結果えられたもので,とくに頭部外傷時に起こる脳および頭蓋の病変に関する基礎的研究から,多くのことが知られるようになり,日常われわれが遭遇する種々の程度の外傷の臨床的な面への応用が行なわれるようになつた.以下頭部外傷の救急処置およびそれに必要な診断的事項について,われわれの自験例を中心として述べてみたい.
頭部外傷はその受傷機転,受傷部位,受傷状況,年齢などにより千差万別の臨床症状を呈し,しかも受傷当初の処置が適切であつたか否かによつてその経過にいちじるしい差異をきたす.最悪の場合には致命的な状態に陥ることも少なくない.受傷程度によりきわめて軽度でいわゆる打撲の程度のものから,完全に意識を消失した昏睡状態,さらに救急処置をほどこすいとまもなく死亡する重症のものまで種々の段階があり,これに関しては種々の分類1)8)が行なわれてきた.われわれは従来から臨床的な面から重症,軽症の2つにわける簡単な分類法をとつているが,問題はしばしば受傷の程度をいかにして判定するかにかかる.
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